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【変わる法廷 裁判員制度10年(1)】崩れた供述依存 コールドケース、物証で光

 こうした状況を受け、警察当局は逮捕直後に逮捕容疑への認否だけでなく、犯行に至る全体像について網羅的に供述を聴取し、録音・録画するなどの対策を取る。

 警察幹部は「弁護士のアドバイスで、容疑者が黙秘に転じるまでの時間との勝負だ。客観証拠がある事件ばかりではないから」と打ち明けた。

■調書より「人」を見る

 ただ、最高裁が公表した裁判員制度10年の総括報告書によると、調書など書面の取り調べ時間が減り、証人尋問にかける時間が増えるなど、「書面から生の証言へ」の傾向は顕著だ。

 29年に東京地裁で行われた強盗致傷事件の裁判員裁判では、被告の男の共犯者とされる3人の証人尋問を実施し、うち1人は「自分の不利益になるのでしゃべりません」と質問に一切答えなかった。

 裁判員を務めたパート、山下美紀さん(54)は「被告と共犯者たちの主張が食い違う中で、誰が本当のことを言っているのか見極めるのは難しかった」と振り返った上で、証人尋問を試みたことを評価する。「法廷で話すかどうかは別にしても、本人と対峙(たいじ)することが大切だと感じた。それぞれの証人を直接見ることで、見た目や語り口から人物像のイメージを持つことができた」

 最高裁の総括報告書は裁判員制度について「理想的な営みを実現していくために、まだ改善すべき点がある」とし、こう締めくくっている。「10周年という節目は、刑事司法制度の変革という大きなうねりの中の一つの通過点にすぎない」

 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度は21日、施行から10年となる。「供述から客観証拠へ」「書面から生の証言へ」。刑事司法に地殻変動をもたらした制度を検証する。

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