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裁判員制度10年 量刑の幅、広がる傾向 殺人は厳罰、放火は猶予多く

 最高裁の総括報告書では、量刑が裁判官裁判よりも重くなった性犯罪以外にも、殺人や放火事件などで量刑傾向が変化していることが判明した。最高裁は「重い刑と軽い刑の双方向に量刑の幅が広くなっている」とみており、この変化は今後も続きそうだ。

 裁判員裁判の量刑は、過去の判決と事件概要が登録された最高裁の「量刑データベース」を参考にしながら、評議で議論を重ねる。裁判員と裁判官の全員一致の結論を導ければそのまま決まるが、議論を尽くしても一致しない場合は多数決で決める。裁判員と裁判官は等しく1票を持つため、判決には裁判員の感覚も影響を与えることになる。

 今回、最高裁が量刑傾向を分析したのは、平成24年12月に公表した施行3年後検証に続いて2度目だ。総括報告書では(1)裁判官裁判(1審判決の時期が20年4月~24年3月末)(2)裁判員裁判前期(同21年5月21日~24年5月末)(3)裁判員裁判後期(同24年6月~30年12月末)-の3区分で、判決の内訳を比較した。

 殺人未遂を見ると、実刑のうち最も多い判決は(1)が「懲役5年以下」、(2)(3)が「懲役7年以下」で、刑が重い方向にシフトした。

 また殺人既遂では、実刑のうち最も多い判決は(1)(2)の「懲役13年以下」から(3)は「懲役15年以下」に。裁判員裁判の中でも、前期と後期で量刑が変化していることが分かる。

 現住建造物等放火既遂では、実刑のうち最も多い判決は(1)~(3)のいずれの時期も「懲役5年以下」だったが、執行猶予付き判決の割合は裁判員裁判後期が最も高かった。

 元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「殺人で量刑が重くなっているのは、人命を奪うことへの市民の厳しい見方が反映された結果だろう。法廷で遺族などに接することで被害者への共感も生まれるのではないか」と指摘。放火については「犯行に至る過程や個別の事情をしっかり見て判断した結果」と推測し、「量刑相場にとらわれず、事件の個性に即して判断しており、望ましい傾向だ」としている。

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