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大熊町、避難指示解除の“現場” 入り交じる光と影「戻れる」「遅すぎた」

避難指示が解除された福島県大熊町大川原地区の自宅で愛犬を愛でる佐藤右吉さん=10日午前(鴨川一也撮影)
避難指示が解除された福島県大熊町大川原地区の自宅で愛犬を愛でる佐藤右吉さん=10日午前(鴨川一也撮影)
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 東京電力福島第1原発事故で福島県大熊町の全域に出されていた避難指示の一部が10日、解除された。原発立地自治体(大熊町、双葉町)の避難指示解除は初めてで、事故から8年余りを経て、大熊は、ようやく復興への歩みを本格化させる。慣れ親しんだふるさとの再生を心待ちにする住民がいる一方で、これまでの長期避難や居住環境整備の遅れから帰還を見送る住民も少なくない。解除の現場には光と影が入り交じる。

 《解除されたのは、除染を終えた中屋敷地区と大川原地区で町の約4割の面積を占める。ただ、両地区の3月末時点の住民登録は138世帯367人で町の人口の3・5%にとどまる》

 《両地区は、日中の立ち入りは可能だった。帰還に向け夜間の滞在も認められていたが、その登録も21世帯48人だけだった》

 「解除しても特に変わらない」。登録した1人で昨年6月から自宅で暮らす末永正明さん(75)は急ピッチで復興工事が進む町内の慌ただしさを横目に冷静に受け止める。

 この8年の間に、避難先で新居を建てた住民も多く、近くには帰還してくる世帯はない。妻のとし江さん(71)も掃除に来てはくれるものの、こうした環境を敬遠し、南相馬で離れて暮らしている。

 《町には線量の高い帰還困難区域も残り、引き続き立ち入りは禁じられる。診療所の開設や幼小中一貫校の開校は、それぞれ令和3(2021)、4(22)で環境整備は遅れる》

 こうした中での一部の避難指示解除。「帰れない人のことを考えると、自分たちだけが、喜んではいられない」。末永さんは複雑な心境を明かす。

 不安もよぎる。末永さんは月に1度ほど、肩の治療で通院している。だが、医療施設が充実する南相馬まで足を運ばなければならず、しかも前泊を強いられている。「まだ車の運転ができるからいいが、将来、どうなるのか」

 《帰還困難区域に役場は位置するため、町は新庁舎を大川原地区に建設し、5月から業務を始める。6月には災害公営住宅の入居も開始される》

 福島県いわき市の応急仮設住宅で暮らす山本重男さん(69)も、入居を予定する1人だ。63歳の妻と暮らすという。

 山本さんは震災の時、福島第2原発で作業員として働いていた。町には、原発に携わる関係者も多く暮らしていた。ただ、事故で散り散りになることを強いられた。

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