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【覆る常識~東日本大震災8年】(3)救助は「来ない」 変わりつつある意識

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首都直下地震の被害想定
首都直下地震の被害想定

 「地震が来ても、119番通報が殺到すれば救助はすぐに来ません。行政に頼っても命を守ることはできません。自分の命を守るのは自分です」

 東京都心で開かれた防災説明会。自治体の担当者は住民や企業の従業員らに、大地震が来た場合の心構えをこう説明する。

 行政が住民保護に“お手上げ”を宣言するかのような発言だが、参加者から目立った反発の声はない。阪神大震災と東日本大震災を経て「行政に頼っても命が守られるわけではないという意識が浸透している」と担当者は明かす。

 内閣府が平成25年に公表したマグニチュード(M)7級の首都直下地震による被害想定。最悪の場合で死者は2万3000人、負傷者は12万3000人に及ぶ。自力で建物から脱出できない要救助者も7万2000人に上る。交通が寸断される上、情報の把握や要員派遣などを考えると、すぐに全員を助けられないのが実情だ。

 「行政による公助だけでは命を守れない」「自分の命は自分で守る」。大震災以降、自治体が住民に配布するパンフレットには、こうした言葉が並ぶ。

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 住民側も「行政に何でも頼る」という意識は薄れてきた。総務省消防庁によると、30年時点で全国1741市区町村の96%で約16万5000の自主防災組織が設けられた。元年から3倍近くまで増えており、行政の手が届かない「隙間」を埋める対策は進んでいる。

 行政も住民任せというわけではない。都内には木造住宅の密集地域が多く、首都直下地震で延焼などの危険性が高いため、多くの自治体が建て替えなどに助成金を出している。

 建物の倒壊や火災の危険度が都内で最も高い地区を抱える荒川区。木造住宅の密集地域を特区として都に申請し、助成金を活用して昨年末までの5年半で400棟以上の建て替えや撤去を実施した。区は32年度末までに住宅の耐震化率を95%に引き上げる目標を掲げるが、現在は86%にとどまる。

 住民側の事情もある。耐震や耐火の大切さは分かっていても、建て替えには費用がかかる上、いったん立ち退かなければならない。区の担当者は「有利な助成金が得られる特区内を一軒一軒回り、少しでも被害を減らしたい」と話す。

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