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【震災遺構のいま】岩手・大槌庁舎、解体・保存で町二分

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東日本大震災の津波で被災した岩手県大槌町の旧役場庁舎で、本体の解体工事が始まった=19日、岩手県大槌町(千葉元撮影)
東日本大震災の津波で被災した岩手県大槌町の旧役場庁舎で、本体の解体工事が始まった=19日、岩手県大槌町(千葉元撮影)

 3体の親子地蔵に、すぐそばを流れる大槌川からの風が吹きつける。町長や職員28人が犠牲になった岩手県大槌(おおつち)町の旧役場庁舎。1月から解体が始まり更地になった。今は、この地蔵と献花台が置かれるだけだ。

 旧庁舎を遺構として保存するか、解体するか-。議論は町を二分した。

 「庁舎をみると、当時を思い出してつらいという声に寄り添う」。平成27年の町長選で、解体を公約に掲げ、震災当時、町の総務課主幹だった平野公三氏が当選を果たし、町は解体にかじを切った。

 藤枝国昭さん(78)は、旧庁舎のすぐ裏に新築し、震災の翌日に引き渡しを受けるはずだった自宅が津波で流失した。弟夫婦とおいも犠牲になった。「庁舎があってもなくても津波の恐ろしさは、いつも胸にある。維持するにはお金がかかるし、跡地を活用すればいい」。町の判断に理解を示す。

 ただ、揺れる思いを抱える遺族らもいる。

 「兄は解体を望んでいたのだろうか」。倉堀康さん(35)の兄、健さん=当時(30)=は行方不明のままだ。庁舎前に設置された災害対策本部にいたとみられている。「解体してもいいと思っていたけど、やっぱり切ない。寂しい」とつぶやく。

 長女の裕香さん=同(26)=を亡くした小笠原人志さん(66)は月命日のたび、庁舎前で手を合わせてきた。

 裕香さんの最期を知りたい。犠牲になった状況を調査するように、第三者委員会の設置を町に申し入れている。「庁舎は調査に必要だったと町も分かっているはずなのに」。町の庁舎解体の判断に憤りと悲しみが入り交じる。

 町は旧庁舎の跡地を防災用空き地として整備する予定だ。「追悼の場、後世に伝える場にしてほしい」。人志さんは訴える。

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