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奈良のシカ、ひき逃げ続発 「天然記念物はねたら厳罰」誤解

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道路を横断する奈良のシカ。急な飛び出しで避けられないケースも=奈良市
道路を横断する奈良のシカ。急な飛び出しで避けられないケースも=奈良市

 奈良公園(奈良市)に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」が、車にひき逃げされるケースが後を絶たない。公園周辺では昨年、シカが巻き込まれた交通事故のうち、ドライバーから通報を受けたのは半数どまりだ。背景にはシカが天然記念物に指定されている事情があるとみられており、シカの保護活動に取り組む奈良の鹿愛護会は「多くのドライバーは天然記念物をはねたら罰せられると誤解しているのではないか」と推測している。(桑島浩任)

 昨年1年間で、同会が認知したシカの交通事故は110件。このうち、生息域を管轄する奈良県警奈良署が当事者から通報を受けたのは57件にとどまった。半数近くのドライバーはシカをはねた後、警察に通報せずにその場を去っていることになる。

 同会では、負傷したシカが現場から去り、その後に山中で死んでしまったケースは事故とみなしていない。このため、通報を怠っているドライバーの実数はさらに多いとみられる。

 原因の一つとして考えられるのは、奈良のシカが単なる野生動物ではなく、国の天然記念物に指定されていることだ。同会の職員によると、事故現場に駆けつけた際、ドライバーから「どんな罰則があるんですか」と質問されることが多いという。

 天然記念物を故意に傷つければ、文化財保護法違反に問われる。だが、故意でなければ罪に問われない。奈良署交通課の担当者は「誤ってシカをはねてしまった場合、物損事故として処理されるのが一般的」と説明する。

 一方、事故の通報を怠ると、道交法の事故不申告になる。道路に放置したシカの死骸が原因で別の事故を誘発した場合は、道交法の危険防止措置義務に抵触する。さらに物損事故の証明が署から発行されなければ、修理費用を自動車保険でまかなうことができず、経済的な負担も膨らむ。

 奈良市内では昨年、交通事故で死んだシカは66頭にも上った。同会の担当者は「すぐに治療すれば助かる場合もある。シカのためにも自分のためにも、きちんと通報してほしい」と呼びかけている。

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