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ある詐欺事件の背景 「コンビニのない村」の弁当店閉店顛末記

村の補助金300万円の交付を受けながら、1年もたたずに閉店した弁当店「ふくまる」=千早赤阪村
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 「ここで地域の人の役に立ちたい」。経営者の男(57)は取材にそう答えた。昨年9月、大阪府千早赤阪村の補助金300万円を受け、開店を控えていた弁当店「ふくまる」での一場面だ。その後、店は1年を待たずに閉じ、虚偽の申請をして、補助金を詐取したとして男と妻(57)は10月、詐欺容疑で府警に逮捕された。「何故…」。追ってきた立場として、容疑者だけでなく村の姿勢に疑問を感じている。

 府内で唯一、コンビニエンスストアのない自治体である村は地域振興策として平成28年、300万円を上限に開業経費の半額を補助する制度を創設。「年間営業日数は200日以上、3年以上続けて営業すること」などが条件だった。

 村によると、「ふくまる」開店まで約15件の問い合わせがあったが、店舗化は実現していなかった。それだけに、店へかかる期待は大きなものだった。

 一方で、不安があったのも事実。府内唯一の過疎地域に指定されている村において、弁当店のあった住宅地「小吹台」は村内の約36%にあたる約1900人が暮らし、高齢化率も5割超と村全体の平均よりも高い。弁当の味や販売形式が地域の事情に応えたものか。聞こえたのは「閉まる時間が早い」「脂っこい味」といった厳しい意見だった。

 同時に制度を疑問視する声も上がっていた。福井市は、店舗開店工事などの初期投資費を補助する制度を設けている。だが、地元商議所などによる経営セミナーを受けて経営計画を作る-といった「一定の基準をクリアして初めて応募できる」仕組みだ。

 村からは「ハードルを設けては誰も来ない」との声も聞かれたが、一番の目標は村に根を張り、地域のため努力する事業者を助けることだ。制度本来の趣旨を顧みれば、どこかで食い止められたのではないか。

 福井市の担当者はハードルを上げる理由を「事業者には地域のため、長く貢献してもらいたいので」と説明した。村の担当者は、この言葉の意味をかみしめるべきだ。(藤崎真生)

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