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【主張】安田さん解放 テロに屈してはならない

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 内戦下のシリアで武装勢力に拘束されていたとされるフリージャーナリスト、安田純平さんが解放された。

 行方不明から、約3年4カ月を経ての消息である。この間、安田さんが日本語で「助けて」と書いた紙を示す画像などが公開されていた。

 両親らは「よく頑張った」などと涙ぐんだ。まず、安田さんの無事を喜びたい。

 菅義偉官房長官は「官邸を司令塔とする『国際テロ情報収集ユニット』を中心にトルコやカタールなど関係国に働きかけた結果だ」と説明した。

 安田さんは、国際テロ組織アルカーイダ系の過激派「ヌスラ戦線」に拘束されていたとみられる。安田さん解放の情報は、ヌスラ戦線などに影響力を持つカタールからもたらされた。

 日本政府の要請を受けたカタールやトルコが、何らかの仲介役を務めたことは間違いあるまい。国際社会との連携による解放は、一定の外交の成果である。

 一方で菅氏は「身代金を払った事実はない」と強調した。テロリストを直接の交渉相手としない。身代金は払わない。これはテロと戦う大原則である。

 テロに屈すれば新たなテロを誘発する。身代金は次なるテロの資金となり、日本が脅迫に応じる国と周知されれば、日本人はまた次の誘拐の標的となる。原則は堅持されなくてはならない。

 安田さんは2004年4月にもイラクで武装勢力に拉致され、3日後に解放されていた。今回の不明時は政府がシリア全土に「退避勧告」を出し、新たな渡航をやめるよう注意を呼びかけていた。

 危険を承知で現地に足を踏み入れたのだから自己責任であるとし、救出の必要性に疑問をはさむのは誤りである。理由の如何(いかん)を問わず、国は自国民の安全や保護に責任を持つ。

 安田さんの解放に尽力したとされる「国際テロ情報収集ユニット」は、テロに関連する情報を一元的に集約するため、政府が15年12月、外務省に設置した。

 外務省や防衛省、警察庁、公安調査庁などの職員からなる実動部隊で、将来的には情報機関としての独立も視野に入る。

 今回の事件にも象徴されるように、テロは遠い世界の出来事ではない。テロに強い国へ、体制や法の整備も急ぐべきである。

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