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【産経抄】9月13日

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 元裁判官の原田国男さんが、若い頃の米国研修で何より驚いたのは、裁判官に対する敬意の強さだった。連邦最高裁判事ともなると、全米のスターなみである。それに比べて日本の裁判官は、世間の普通の付き合いからも孤立しがちだ。米国人学者の言葉を借りれば、「名もない顔もない裁判官」である(『裁判の非情と人情』岩波新書)。

 ▼ところが最近は、裁判官の気質も変わってきたようだ。岡口基一・東京高裁判事(52)は、実名でツイッターに投稿する裁判官として、ネットの世界では有名人物だという。やはりツイッターをこよなく愛するトランプ米大統領と、物議をかもすという点で共通している。

 ▼数多い投稿には、縄で縛られた上半身裸の男性の画像や、女子高校生が殺害された事件をめぐる不適切なつぶやきも含まれる。東京高裁からは2度にわたって、厳重注意を受けてきた。

 ▼今回問題になったのは、犬の所有権をめぐる民事訴訟についての書き込みである。勝訴した元の飼い主の抗議を受けて、東京高裁は懲戒を申し立てた。11日に最高裁大法廷が非公開で開いた「分限裁判」に、小紙記者が傍聴を求めたものの認められなかった。

 ▼「公開の場で手続きを明確にすべきだ」。審問後の会見で岡口氏がこう訴えているのは理解できる。ただ、「申し立ては、表現の自由を侵害している」との主張には、首をかしげる。人を不快にする行為は慎む。これは、裁判官でなくても、社会人としての常識である。

 ▼もっとも、処分がどうあれ、岡口氏は裁判官を続けられる。原田さんは現役時代、公判の前日には、藤沢周平全集を読み直して、心を静めたそうだ。こんな人に裁かれたいと思っても、こちらに選ぶ権利がないのが残念だ。

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