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【主張】台風21号 想定外で済まさず対策を

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【主張】
台風21号 想定外で済まさず対策を

 荒れる自然は、これほどまでにすさまじい。冠水した空港、吹き飛ばされた車。台風21号は、近畿を中心に大きな被害をもたらした。

 気象災害は年々激しくなり、思いもしなかった被害が出ている。まず復旧に全力を挙げたい。そして激甚化する災害の被害を「想定外」として済まさず、想定を常に見直し、今後に生かすすべを考えたい。

 大阪湾の人工島、関西国際空港は広範囲の浸水に見舞われた。

 関空ではこれまでも高波対策で護岸がかさ上げされてきた。運営する関西エアポートによると、50年に1度の高波が来ても抑えられるようにしていたという。

 台風21号では、大きな高潮があった昭和36年の第2室戸台風を30センチ以上上回る3・29メートルの潮位を大阪港で観測した。関空が浸水した理由は調査を待つ必要がある。対策が取られてもなお想定が通用しなかったとしたら、さらなる手立てが必要になる。

 空港と対岸を結ぶ連絡橋にはタンカーが衝突した。橋は破損して不通になり、多くの利用者が空港に取り残された。今は橋の片側を緊急車両が通行するのみで、全面復旧には時間を要しよう。空港機能の回復に向けて官民を挙げて取り組まなければならない。

 高潮は広範囲に及び、沿岸部でコンテナや桟橋が流失した。強風にあおられた車が飛ばされたり横転したりする被害も相次いだ。電柱が倒され広範囲で停電した。

 「非常に強い台風」上陸に対し厳戒態勢が敷かれた。鉄道各社は早々と運休し、企業や百貨店、観光施設なども休業した。死者が出たのは残念でならないが、厳戒態勢で命にかかわる危険を回避できた人は多かったはずだ。厳重な備えの大切さを再認識したい。

 それでも、これほどの物的被害である。特に高潮と暴風に関しては、従来の想定や認識を改めなければならない。空港、沿岸部の高潮対策、暴風下での船舶や車両の安全管理などの検証を急ぎ、想定のレベルを上げて全国各地で対策を講じる必要がある。

 地球温暖化の影響で、豪雨や台風の激甚化が指摘される。この夏だけでも西日本豪雨や酷暑など、過去の経験が通用しない気象災害が日本列島を襲っている。

 今年の台風シーズンは、まだ続く。今回の教訓を、迅速かつ最大限に生かしたい。

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