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【主張】虐待過去最多 医療や自治体との連携を

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 全国の児童相談所が平成29年度に対応した児童虐待の件数が速報値で13万3778件に上り、過去最多を更新した。前年度比で1割近く増え、統計を取り始めて27年連続の増加である。

 虐待の数が増える一方で児相は慢性的に人員が不足している。政府は7月の緊急対策で、児童福祉司の増員、弁護士や医療職の配置の促進などの体制強化策を決めた。着実に進めてほしい。

 警察と児相が情報を全件共有する、都道府県の動きも加速している。成り立ちも役割も違う機関である。考え方や対応に差があり、摩擦もあろう。だが子供の命を守りきれない現実を見れば、連携をためらうべきでない。何をどう共有するか、子供にとっての最善策を目指してもらいたい。

 この調査とは別に虐待による死亡事例の検証結果も発表された。心中を除くと、28年度に把握された虐待で死亡した子供は49人に上り、32人が0歳児だった。

 生まれてから日が浅いと、児相に情報が届いていないケースもある。児相が扱う10万件超の外側にも、救わなければならない命が多くあるはずだ。

 0歳児の虐待死が多いことは近年、産婦人科の医師らから指摘されていた。従来の対応とは異なるアプローチが必要である。

 加害者の属性を見ると、予期せぬ妊娠、計画していない妊娠が多い。経済力や養育能力に欠ける母子の情報を、どこでキャッチし、どう相談機関につなげていくか。大きな課題である。

 検証結果からは、市区町村の母子保健の担当課や、医療機関との接点があった母子がいたことが分かっている。出産前や出産後のタイミングをとらえて、継続した母子支援につなげていくことが重要である。

 産科の医師からは「虐待リスクのある妊婦は分かる」との声も聞く。妊婦健診が未受診であったり、母子健康手帳を持っていなかったなどのケースだ。

 だが児相に情報を伝えても、対応には温度差があるという。警察だけではなく、周産期医療や市区町村など、母子保健との連携も必須である。そうした重層的な情報共有が、当たり前にならなくてはいけない。

 現場の「感触」を軽んじることなく、細い糸を確実に継続的な支援に結びつけることが重要だ。

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