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【オウム死刑執行】犯罪処理で終わるな 伝えよ 編集局長 井口文彦

オウム真理教の教祖だった麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚=平成2年10月、静岡県富士宮市
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 平成初期を暗く覆ったオウム事件。麻原彰晃死刑囚らの刑が執行され、事件処理は最終局面に入った。

 東京の地下鉄にサリンが撒かれたのは阪神・淡路大震災の2カ月後。以降、警察庁長官が撃たれ、都庁で爆発が起き、不可思議な事件が続いた。「オウムが水道水に細菌を撒く」と噂が流れた。そうなってもおかしくない、と思わせる社会不安が漂う時代だった。

 本気になった警察は次々と信者を逮捕した。連行される信者を見て、意外だった。真面目そうな若者と、凶悪犯罪が、なかなか結びつかなかったのだ。

 彼らが入信したのはバブルの時代。拝金風潮になじめず、人間関係に疲れ、真の豊かさを精神世界に求め、神秘体験を売りにしたオウムに集まった。

 が、俗世を捨て選んだ世界は、実際は俗世以上に俗だった。学歴が横行し、麻原死刑囚の寵愛を得ようと競い合う世界。閉鎖空間で洗脳され、救済と信じ人の命を奪うようになった。

 特殊な者でなく、ごく普通の若者が殺人者に仕立てられた。そこにオウム事件の怖さがある。

 「東京の夜景を見て、なんて無機質で冷たい街だろうと思った」。元会社員の女性信者は法廷で、入信動機を説明する際にそう表現した。彼女が抱いた社会への違和感は今でも特殊だとは言い切れまい。最近も「イスラム国」(IS)なる集団が日本の若者をひきつけた例があった。「オウム的なもの」が今も日本社会から消えてはいないことを、われわれは自覚したほうがいい。

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