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【明治150年】第3部 法律(3)父子の確証 嫡出推定の知恵 民法、根強い「家制度」の影響

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【明治150年】
第3部 法律(3)父子の確証 嫡出推定の知恵 民法、根強い「家制度」の影響

戸籍を男性へ変更した前田良さん(奥)は2人の息子、妻と家族4人で暮らす=兵庫県宍粟市(滝口亜希撮影) 戸籍を男性へ変更した前田良さん(奥)は2人の息子、妻と家族4人で暮らす=兵庫県宍粟市(滝口亜希撮影)

 数カ月前。兵庫県宍粟(しそう)市の会社員、前田良さん(35)は、家で寝転ぶ長男(8)と次男(6)に中高生時代の写真を見せた。「昔はお父さん、こんなんやったんやで」。制服のスカートや体操服を着た、女だったころの自分が写っていた。どんな反応をするだろう…。そんな思いもあったが、長男は「普通やん」。前田さんの妻(36)は「この子らには、昔はどうであれパパはパパなんです」と話す。

 女として扱われることへの違和感が決定的になったのは女子高を卒業した後。心と体の性別が違う「性同一性障害」を取り上げたテレビドラマ「3年B組金八先生」を見て「これだ」と確信した。子宮などを摘出し、平成20年、性同一性障害特例法に基づいて戸籍を男へ変更。妻と結婚し、21年には第三者の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)で長男を授かった。

 息子の誕生で味わったのは「幸せの頂点」でもあり「不幸のどん底」でもあった。戸籍の壁が立ちはだかったのだ。長男を法律上の子である「嫡出子」として提出した出生届は「生物学的親子関係がない」として受理されず、長男の戸籍の父親欄は空欄に。前田さんは法律上の父子と認めるよう求める裁判を起こした。

 1、2審は訴えを退けたが、最高裁は25年、特例法で性別変更した前田さんは「婚姻中に妻が妊娠した子と法律上の父子関係があると推定される」との初判断を示した。「父親として認められました」。弁護士から突然の電話を受けたとき、長男は4歳になっていた。「最高裁、認めた」。前田さんは妻に一言だけ告げ、ハイタッチした。

     

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