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【神奈川・90歳運転事故】「なぜ免許返納していなかったのか」 名古屋大大学院の加藤博和教授(公共交通政策)

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【神奈川・90歳運転事故】
「なぜ免許返納していなかったのか」 名古屋大大学院の加藤博和教授(公共交通政策)

90代女性が複数の歩行者をはねた、JR茅ケ崎駅に近い国道1号の交差点付近=5月28日午後0時50分ごろ、神奈川県茅ケ崎市元町 90代女性が複数の歩行者をはねた、JR茅ケ崎駅に近い国道1号の交差点付近=5月28日午後0時50分ごろ、神奈川県茅ケ崎市元町

 運転していた女は、事故の約半年前に受けた認知機能検査では問題がなかったものの、動体視力など安全な運転をするための何らかの機能は衰えていた可能性がある。将来的には、一定の年齢に達したら一律で運転免許の取り消しや返納などの措置をとることも検討する余地がある。

 また、高齢運転者は一般的に運転の経験年数が長く、技術に自信がある人が多い。今回の女も運転歴は数十年とされる。一方、加齢などの影響で自分自身も気づかないうちに技術が急速に衰えることも珍しくない。どのようにして事前に返納の必要性を理解してもらうかが重要になる。

 私が自治体での講演会などで伝えているのは、免許を持っていないことは恥ずかしいことではないということだ。むしろ、返納してバスなどを使う方が、発車時間の確認など手間のかかることをしっかりこなしているという意味で、すばらしいことなんだと価値観の変換を促している。

 さらに、事故があった茅ケ崎市は、山間部など人口の少ない地域に比べて路線バスなど公共交通網はしっかりしている。車を手放すと生活が成り立たなくなる地域とはいえず、なぜ女が90歳まで免許を返納していなかったのか疑問が残る。

 各自治体はタクシー割引などの行政サービスを提供しており、高齢者が認知機能検査を受けるときに、警察などがサービス内容を伝達する取り組みを進めることも大切だろう。

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