産経ニュース

東海地震予知前提の防災体制見直し 静岡戸惑い、和歌山歓迎

ニュース 社会

記事詳細

更新


東海地震予知前提の防災体制見直し 静岡戸惑い、和歌山歓迎

防災の日に予知型の防災訓練に参加する子供ら=平成28年9月1日、静岡県東伊豆町(東伊豆町提供) 防災の日に予知型の防災訓練に参加する子供ら=平成28年9月1日、静岡県東伊豆町(東伊豆町提供)

 東海地震の予知を前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく防災態勢の見直しを柱とする中央防災会議作業部会の報告書案が25日、了承された。「予知型」と「突発型」の両方の対策を整えてきた静岡県は戸惑いを見せ、新たに対象地域となる和歌山県などでは歓迎の声が上がった。

 「私たちがやってきた今の東海地震の(対策の)仕組みがある。今後の検討作業にも静岡県として積極的に関わりたい」

 この日、内閣府で開かれた作業部会最後の会合で、静岡県の外岡達朗危機管理監はこう発言し、見直しありきの流れにクギを刺した。同県も「基本的には突発的に発生する」(外岡危機管理監)という前提で地震・津波対策を進めているが、気象庁の判定会が地震発生の可能性を判断し、首相が警戒宣言を発令するという、「予知」ありきの現行の仕組みなら、政府の強力な指揮の下で対策が実行できるからだ。

 今後の態勢が定まらないことに不安の声も。静岡市の担当者は「(予知段階で行うことになっている)水門の閉鎖が遅れると被害が出てしまう可能性もある。地震後の住民への情報の出し方も変わってくるだろう」と気をもみ、浜松市の鈴木康友市長は「予知なしの突発地震発生に対応した対策を今後も継続する」とコメントした。

 一方、南海トラフの巨大地震の被害が想定されている和歌山県は、高さ1メートルの津波が2分で到達するとされる串本町などを抱え、対策が切実だ。同県の担当者は「県民の命を守るために活用できる情報を受け取れる」と歓迎した。

 慎重な声もある。報告書案では南海トラフの一部領域で大規模地震があった際、別の領域でも大地震の恐れがあるとして住民の避難の必要性を示した。これに対し、同県新宮市の担当者は「社会が混乱して経済活動も停止する。避難勧告の判断は慎重にならざるを得ないのでは」と指摘する。

 中央防災会議は今後、モデル地区を選定し、課題を洗い出した上で実情に合わせたガイドラインを策定する方針。三重県の担当者は「地方任せにせず国として関与を継続し、具体的な対応の内容を含めたガイドラインを早く示してもらいたい」と注文を付けた。

「ニュース」のランキング