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【金正男氏殺害】
VX検出とマレーシア警察 毒殺確定 顔などに付着か
【クアラルンプール=岩田智雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、マレーシア警察は24日、遺体から猛毒の神経剤VXが検出されたと発表した。これにより、正男氏が毒殺されたことが、ほぼ確実になった。
カリド・アブバカル警察長官の発表によれば、検査を行ったマレーシア政府の化学物質分析機関が暫定結果を提出。それによると、VXは遺体の目の粘膜と顔から検出された。
警察はこれまでに、インドネシア人とベトナム国籍の女2人を実行犯として逮捕しており、女らが、毒物と認識しながら液体を手で正男氏に塗りつけたと発表していた。
VXは1950年代に英国、米国で開発された化学兵器用の神経剤。皮膚から容易に吸収され、呼吸困難、意識障害、縮瞳(しゅくどう)などの症状を引き起こす。日本のオウム真理教が殺人、殺人未遂事件で使ったことで知られる。正男氏の殺害事件では、専門家から液状のVXをクリームに混ぜて使った可能性が指摘されていた。
一方、在マレーシア北朝鮮大使館は22日、クアラルンプール市内の大使館前に集まった報道陣に声明を文書で配布し、「マレーシア政府は監視カメラの映像や、女性容疑者らが犠牲者の顔に手で毒を塗ったとの妄想に基づき捜査を行っているが、女性容疑者はどうして生きていられるのか」と疑問を呈し、「いたずらで顔に塗った液体は毒ではなく、死亡の原因はほかにあるということだ」と主張した。