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【宮本警部殉職10年】
踏切内で人命救助、警察官魂受け継ぐ 後輩「躊躇しない覚悟」
宮本警部の殉職は警察学校の頃から知っている。同じ署員となり、なおさら思いは強い。「踏切が近いから、人身事故があってもおかしくない」と日頃から意識もしていた。ただ改めて殉職を思うと、「もしかしたら自分も…」と怖くならないわけでない。「自分の救助だって、他人の話として冷静な頭で聞けば、危ないなと思ったかもしれない」
しかし、また同じ状況があっても躊(ちゅう)躇(ちょ)しない覚悟だ。「あのときは何も頭になかった。警察官として走り出すのは当然のこと。次はより安全に救助できると思う」と語る。将来の夢はSP(警護官)だ。
12月12日。板橋区の宮本警部の墓前に、先輩警察官とともに、静かに手を合わせる小畑巡査長の姿があった。板橋署では各課順に、月命日に墓参りをしている。地域課の順番が救助からわずか2週間後だったのは偶然だった。
「伏してぞ止まん」。宮本警部の殉職後に出版された本のタイトルだ。「精いっぱい努力した上でもう一歩踏み出し、うつぶせに倒れるまでやめるな」との意味だ。宮本警部が幼い頃に父親に教えられた言葉だという。宮本警部が体現したその姿勢は脈々と後輩警察官に受け継がれている。