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【テロを防げ サミット警備の精鋭部隊(上)】
空からの脅威を迎撃する無人航空機対処部隊(IDT)の実力は?
警察関係者は「強引に侵入する機体を阻止するのは難しい」と話す。各国では重要施設周辺で飛行不能にするプログラムを組み込んだり、リモコン操作を電波で妨害したりする。
こうした中、“切り札”として編成されたIDTは大型ドローンを配備。縦3メートル、横2メートルの網をつり下げ、不審ドローンをからめ捕る。IDTは24時間態勢で運用。伊勢志摩サミットでも部隊を三重県に派遣。会場となる賢島付近上空の不審な動きに目を光らせる。
隊員はシミュレーターや実機の操縦を重ね、練度を高める。現場ではドローンを載せた車両や上空を見張る要員が乗車した車両で移動。不審ドローンを発見したら即、捕獲態勢に入る。
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「脅威はさらに高まっているように感じる」。サミットが迫る中、IDTの中でも特に優れた技術を持つという鈴木僚巡査長(27)は緊張をにじませる。
ドローンは日々、性能が向上。軽量化し、出力も強化された機種が続々と現れている。インターネットサイトでは機体に装着した銃や火炎放射器を発射する動画が公開されている。IDTも、こうした情勢を把握し、技量を高めている。
入り組んだリアス式海岸に囲まれた賢島や、ビルの林立する東京…。IDTには危険物が積まれた可能性もある機体を地上に落とすことなく、全てを確実にからめ捕る困難な任務が求められる。「ドローンによる不法行為は絶対許さない。有事即応で空の警備に万全を尽くす」。鈴木巡査長は力を込めた。