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【東日本大震災5年】父失い兄不明…でも「私ばかり悲しんでいられない」 岩手県田野畑村 畠山香さん(48)

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【東日本大震災5年】
父失い兄不明…でも「私ばかり悲しんでいられない」 岩手県田野畑村 畠山香さん(48)

東日本大震災の犠牲者を悼み、村の未来に思いを込めて風船を放つ遺族代表の畠山香さん=11日、岩手県田野畑村 東日本大震災の犠牲者を悼み、村の未来に思いを込めて風船を放つ遺族代表の畠山香さん=11日、岩手県田野畑村

 いつも笑顔でいることが自分の役割だと思って過ごした5年間。それでも、この日だけはこみ上げてくるものを抑えられなかった。

 「愛する妻や子供、孫を残して、どれほど無念だったでしょう。苦しかったでしょう」。岩手県田野畑村で行われた11日の追悼式。遺族代表の言葉を述べた畠山香さん(48)は、津波で亡くなった父、義雄さん=当時(75)と、今も行方不明の兄、誠さん=当時(45)=を思い浮かべ、涙をぬぐった。

 高台にある民宿「ひらいが海荘」を営む畠山さんは、明るい声と笑顔がトレードマークの名物女将(おかみ)だ。

 あの日、民宿のロビーからは、白い波が迫ってくるのが見えた。津波は実家があった三陸鉄道北リアス線「島越駅」付近を襲い、義雄さんらをのみ込んだ。

 後に、義雄さんはいったん避難所まで逃げたものの、自宅に戻って犠牲になったこと、地元の消防団員だった誠さんは、水門を閉めに行ったまま波にのみ込まれたことを教えられた。

 それでも「私ばかり悲しい、悲しいなんて言っていられない」。震災で傷ついた田野畑村をもり立てようと、旅行客やボランティアらを笑顔で迎え入れた。

 平成26年12月、漁師の網に骨のようなものが引っかかった。調べた結果、義雄さんの骨盤の一部だった。

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