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【東日本大震災5年】津波にのまれた父を思う…6歳の女の子は一度も髪を切ったことがない 「パパがなでた髪かもしれないから」

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【東日本大震災5年】
津波にのまれた父を思う…6歳の女の子は一度も髪を切ったことがない 「パパがなでた髪かもしれないから」

唯一、手元に残されていた家族4人の写真。高橋昌照さん(右)の遺影になった =平成22年9月4日、仙台市(高橋陽香さん提供) 唯一、手元に残されていた家族4人の写真。高橋昌照さん(右)の遺影になった =平成22年9月4日、仙台市(高橋陽香さん提供)

 「ラプンツェルみたいに床につくまで伸ばしたい」。グリム童話に登場する少女に憧れる娘のため、冬は20分ほどかけて、ドライヤーで丁寧に髪を乾かす。

「こっちには来るな!」

 「おむつが欲しいからそっちに行くね」「こっちには来るな!」。平成23年3月11日、仙台市宮城野区の消防団に所属していた昌照さんは、自宅に戻ろうとしていた陽香さんを電話で制止し、保育園に長男の真心(こころ)君(8)と心陽ちゃんを迎えに行くよう指示。これが最後の会話となった。

 昌照さんが乗っていたポンプ車は自宅から約150メートル離れた場所で大破して見つかったが、連絡はとれないまま。13日に避難先で知人と再会した陽香さんは、思わず泣き崩れた。「パパがいないの」。傍らでは子供たちが不安そうに見つめていた。「もう泣けない」。涙をこらえた。

 夜、おぶっていた真心君がつぶやいた。「パパ、死んだんだよね」。思わず否定した。「パパ、生きてるから!」。自分に言い聞かせていたのかもしれない。息子は背中で泣いていた。

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