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【伝える ある震災遺族の5年(5)】「健太いるかなって」…息子の部屋から夫妻の一日は始まる

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【伝える ある震災遺族の5年(5)】
「健太いるかなって」…息子の部屋から夫妻の一日は始まる

 結婚を約束した女性との写真

 田村健太さん=震災当時(25)=が幼少期、宮城県東松島市の矢本海岸へ家族で遊びに訪れたとき、父の孝行さん(55)と浜辺で撮影した写真がある。

 それとは別に、健太さんが亡くなる1年余り前に同じ場所で撮った写真もある。結婚を約束した女性と一緒だ。

 平成27年9月19日。健太さんの誕生日であるこの日、夫妻は同県栗原市内の飲食店に招かれていた。並んだ料理の中にミートソーススパゲティ。母の弘美さん(53)が振り返る。

 「健太の大好物だったから、今でも誕生日には家で作るんですが、この日は特別に用意してくれていたんです」。ミートソーススパゲティを用意していたのは、健太さんと結婚を約束した女性。彼女は勤務先の飲食店に夫妻を招き、健太さんの30歳の誕生日を一緒に祝ってくれた。

                   

 同県大崎市の田村さん夫妻の自宅には、健太さんの写真が居間の壁を埋め尽くすほど飾られている。

 「捕手一筋だった」

 健太さんがキャッチャーマスクを外し、投手に向かって大声で叫ぶ姿を写した写真を見ながら孝行さんはつぶやいた。小学3年から大学3年までの12年間、野球に打ち込んだ。

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