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【被曝リスクを検証する(下)】「上限20ミリシーベルト」に上がる懸念の声 科学的根拠を聞き入れず不安ばかりに駆られる福島の現状

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【被曝リスクを検証する(下)】
「上限20ミリシーベルト」に上がる懸念の声 科学的根拠を聞き入れず不安ばかりに駆られる福島の現状

 原発事故を受け、菅直人首相(当時)の肝煎りで内閣官房参与に任命されたが、約1カ月後に涙を流しながら辞任を表明した東京大教授(同)の小佐古敏荘さん(66)=放射線安全学=の発言だ。

 「20ミリシーベルト」に反発した小佐古さんは、「特殊な例でも5ミリシーベルト」と求めたが聞き入れられず辞任した。今も政府は「年20ミリシーベルト未満なら帰還可能」とするが、地元は除染の長期的目標となる「1ミリシーベルト」を求める事態に陥っている。

 昨年3月に東大教授を退官した小佐古さんは今、「あのときと考えは全く変わっていない。事故当時の政府の対応がまずく、食品摂取の制限がうまくいかなかった」と話す。

 ただ、小佐古さんは事故時の放射性物質の摂取を問題視し、現状の低線量の被曝にまでは明確に踏み込んでいない。

 京都医療科学大の遠藤啓吾学長(放射線医学)は「100ミリシーベルト以下の低線量被曝では、放射線による発がんのリスクは極めて小さいというのが多くの科学者の見解。実際に帰還が始まっている場所では、住民の被曝線量は年間20ミリシーベルトよりもずっと低い。帰還を検討する“スタートライン”として20ミリシーベルトは妥当だ」と説明する。

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 低線量被曝のリスクについては最近、研究者も一つの結果を提示している。

 放射線影響協会の放射線疫学調査センター長、笠置文善さん(66)らの研究グループは、原発など放射線業務に携わる作業員らを対象に、1990年代から約20年にわたって追跡調査を行った。

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