産経ニュース

【にっぽん再構築(2)】高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

ニュース 事件

記事詳細

更新

【にっぽん再構築(2)】
高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

野々島で県側が計画する防潮堤の高さ(左)と、住民側が求める高さ(右)を示した構造物。遠藤勝さんは「県の高さだと外の景色が見えなくなる」と訴える=宮城県塩釜市(高久清史撮影)

   □    □

 「変更にあたって林野庁への相談はなかった」。27年4月、参院予算委員会。林野庁と宮城県が建造を進める気仙沼市の約300メートルの防潮堤建設をめぐり、当時の林芳正農林水産相が釈明した。防潮堤の断面が、北側の林野庁分は三角形、南側の県の分は台形と異なり、物議を醸していた。

 合同の地元説明会を経て、林野庁は25年2月に着工。県は同11月、耐震性を強化するための基準変更に基づき、台形の防潮堤を造ると林野庁側に連絡。26年9月に着工した。

 結果として、林野庁は県側と同じ台形に合わせるため盛り土など当初の工事契約を大幅に見直し、追加費用も生じた。縦割り行政の弊害が露呈した格好だ。

 林野庁の担当者は「合同説明会では裏直立型(三角形)で説明していた」と指摘し、台形への変更が想定外だったとする。県の担当者は「基準変更の時点で林野庁に伝えている」と説明。双方の言い分は食い違うが、仕様の違う防潮堤の出現は、復興を待ち望む地元住民をあきれさせた。

 「何をムダなことをしているのかと思った。ちゃんと調整して工事したらいいのに」。海岸近くの家が被災し、仮設住宅で暮らす50代の女性は表情を曇らせた。

このニュースの写真

  • 高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

「ニュース」のランキング