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【にっぽん再構築(2)】高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

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【にっぽん再構築(2)】
高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

野々島で県側が計画する防潮堤の高さ(左)と、住民側が求める高さ(右)を示した構造物。遠藤勝さんは「県の高さだと外の景色が見えなくなる」と訴える=宮城県塩釜市(高久清史撮影)

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 白波をあげる船首の先に、亀裂が入り段差が生じた防潮堤が姿を現す。松島の大森島など無人4島では、破損した防潮堤の復旧事業が持ち上がり、20億円超の査定費用に「ムダだ」との批判が沸き起こった。

 塩釜市によると、4島ではかつて付近の住民が船で訪れて水田を耕し、昭和40年代半ば以降、高さ3・1メートルの防潮堤が計約900メートルにわたり整備された。

 被災時点ではいずれの水田も耕作放棄されていたが、市は深刻な被害が出た有人島の防潮堤と一緒に県を通じて、国負担の災害復旧事業に申請した。

 本来なら申請前に島民に耕作再開の意志があるかなどを確認しておくべきだったが、市の担当者は「当時は時間がなかった」と釈明する。国側の査定を災害が発生した年内に原則終わらせるという“暗黙”のルールを意識したというのだ。

 首相夫人の安倍昭恵さんが視察して事業を疑問視するなど防潮堤整備の「負の象徴」として注目を集めるると、市は平成25年12月に地主の島民に聞き取りを行って耕作再開の見込みはないと判断。土砂流出によるカキ養殖への悪影響を懸念する地元漁協などの声を踏まえ、最低限の補修にとどめるとし、事業費は大幅に圧縮される見通しだ。

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