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【にっぽん再構築(2)】高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

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【にっぽん再構築(2)】
高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

野々島で県側が計画する防潮堤の高さ(左)と、住民側が求める高さ(右)を示した構造物。遠藤勝さんは「県の高さだと外の景色が見えなくなる」と訴える=宮城県塩釜市(高久清史撮影)

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 日本三景のひとつ、松島に浮かぶ野々島(宮城県塩釜市)。船着き場近くに鉄パイプを組み立て、パネル板を据えた構造物が異質な存在感を放つ。

 「宮城県が計画する防潮堤高」と書かれたパネルのとなりには、高さが1メートル低い「住民が望む防潮堤高」と書かれたパネルがある。住民側が設置した。

 「県側」のパネルの前に立つと、松島湾の景色は見えなくなる。「高い壁に囲まれるような島に魅力はないでしょ。素晴らしい景色を残すことがおれたちの責務だ」。自営業の遠藤勝さん(52)は厳しい表情でパネルを見つめた。

 野々島では東日本大震災の津波で31戸が全壊するなどした。県や市の防潮堤整備計画は外洋から直接津波が流れ込む南側の海岸で海抜4・3メートル、北側の海岸で同3・3メートルに設定。島民は南側の高さには賛成する一方、北側については「高すぎる」と反発する。

 県は政府の方針に基づき、昭和35年のチリ地震津波クラスなど発生頻度が比較的高い「L1津波」に対応する防潮堤の高さを地域ごとに決定。野々島についてはチリ地震津波で塩釜市内で確認された同3・3メートルの痕跡を参考にした。

 だが野々島で漁業を営む鈴木嘉男さん(78)は「チリ地震のときに内湾から津波はこなかった」と主張。島民らは「北側は2・3メートルで十分」としている。

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