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【にっぽん再構築(2)】高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

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【にっぽん再構築(2)】
高い防潮堤 何を守る 海も生活再建も…姿見えず

野々島で県側が計画する防潮堤の高さ(左)と、住民側が求める高さ(右)を示した構造物。遠藤勝さんは「県の高さだと外の景色が見えなくなる」と訴える=宮城県塩釜市(高久清史撮影)

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 「万里の長城」。宮古市田老地区では高さ10メートルで二層構造の巨大防潮堤(総延長2433メートル)が威容を誇り、そう呼ばれていた。

 しかし、大震災の津波を防げず、外側の壁は跡形もなく破壊された。死者は181人、行方不明者は43人。「防潮堤の存在が危機感を薄め、避難を遅らせた」ともささやかれた。

 今、田老地区では外側高さ14メートル、内側高さ10メートルの巨大防潮堤が再び整備されようとしている。高台に造成地や公営住宅が完成したものの、浸水したかつての市街地には更地が広がる。行政側は商店街の再建を描くが、住民らの間では実現性に懐疑的な見方が強い。

 同地区で自宅が流失し、仮設住宅に1人で暮らす女性(72)は、復旧する堤防が守るはずの町が「本当に復活するのか不安」と漏らす。

 岩手県の調査によると、内陸部の親族宅などに移った被災者で「元の市町村に戻りたい」と答えた人は26年に22・7%いたが、27年は18・5%に落ち込んだ。この女性も、帰る家を失ってから千葉県に嫁いだ娘宅で年を越すようになった。

 「戻ることを諦める人は日に日に増えている。堤防を高くすることより、堤防で守る町の姿を示して」

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