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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(下)】薄れる「特別な事件」 「ホシに必ず現場を案内させる」思いで保存続く現場も取り壊しの危機

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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(下)】
薄れる「特別な事件」 「ホシに必ず現場を案内させる」思いで保存続く現場も取り壊しの危機

事件の現場になった宮沢みきおさん宅。老朽化による外壁の崩落防止のため、周囲に防護ネットが張られている=21日、東京都世田谷区上祖師谷

 ■「セレモニー」揶揄も

 15年という節目は特別な意味を持つ。

 22年の刑事訴訟法改正で殺人罪などの時効が撤廃されたが、それ以前では時効で「迷宮入り」していたからだ。科学捜査の進歩で15年以上経過してもDNA型鑑定などの証拠もあり公判維持は可能だ。ただ、一気に風化が進み、住民の記憶が薄らぐ現実は無視できない。

 このため、殺人事件の被害者遺族らで作る「宙(そら)の会」と地元町会や商店会などは昨年7月から毎月、情報提供を呼びかけるビラ配りを行ってきた。延べ約400人が事件解決を願い、ボランティアで実施した。「なんとか解決したい」。こうした思いが住民らを無償の活動に駆り立てた。

 一方、警視庁の捜査本部は今月19日に捜査1課長らがビラ配りを行っただけだ。わずか30分で終わったこともあり「年末のセレモニー」と揶揄(やゆ)する声も聞かれる。もちろん捜査本部はビラ配りが仕事ではなく、事件解決に向け捜査を一歩でも進めることが使命だ。

 かつて捜査本部に詰めた元捜査員はこう嘆いた。「時効がなくなったとはいえ、どうしても今この時期に解決しなければならないという真剣さ、気概を感じない。『今年は15年なんだ』という切迫感が伝わってこない」

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