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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(上)】指紋偏重 失敗した初動捜査 「鑑」と「地取り」おろそかに

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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(上)】
指紋偏重 失敗した初動捜査 「鑑」と「地取り」おろそかに

 地取りもそうだった。捜査員が指紋を集め、違っていたら消す。こうした指紋に特化した捜査が徹底して進められた。

 別の元幹部は「当時の捜査メモもは薄っぺらいものばかりだった。それは当然で、指紋が合致すれば『当たり』、違えば『シロ』。そうした思いが、数をこなすことに腐心して、深い話が聞けていない」と語る。

 「『指紋はある。あとは時間の問題』というのが当時の捜査本部に漂ったムードだった」と元捜査員は振り返る。

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 指紋偏重捜査を象徴する不祥事も起きた。

 18年5月、事件の翌年から3年間にわたって現場周辺の住民に聞き込みをしたように偽った虚偽の捜査報告書を作っていたとして、成城署の元警部補が書類送検された。偽造した報告書は、住民43人分の計35通。いずれにも、自分や自分の妻の指紋を押していた。

 元警部補は、「思うように住民と面接ができず、協力も得られなかった」と動機を供述した。刑事の本分を見失い、指紋集めだけの「コマ」に成り下がっていた姿が浮かぶ。

 成城署内には、一家殺害事件専用の資料部屋がある。保管されている証拠品が、他の事件と混同することは決してない。ただ、近年は新たなものが運び込まれることはなくなった。初動の失敗。それは今なお解決しない要因ともなっている。

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