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【栃木の戦後70年】「パーン、パーン、パーン」 銃声3発 2000人の聴衆騒然 金丸副総裁狙撃事件

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【栃木の戦後70年】
「パーン、パーン、パーン」 銃声3発 2000人の聴衆騒然 金丸副総裁狙撃事件

金丸信元自民党副総裁  

 「パーン、パーン、パーン」。平成4年3月20日午後5時55分、足利市有楽町の市民会館大ホールに乾いた銃声が響いた。演説を終えた金丸信・自民党副総裁が演台を降り、山岡賢次参院議員(当時)と握手を交わした瞬間だった。

 客席4列目から男が前に進み、走りながら約5メートルの至近距離から拳銃で3発発射。男は東京都内の右翼団体の構成員だった。演台の真下で、後援会関係者や私服警察官らに取り押さえられた。最前列にいた記者が様子をのぞくと、拳銃を握った手がまっすぐ記者に向けられていた。カメラを構える前に思わずのけぞった。

 男の手から拳銃を取り上げた警察官は「真正拳銃だ。本物だ」と叫んでいた。

 金丸氏にけがはなかったが、1発の銃弾がすぐそばの演台に命中。弾は2枚の厚い板を貫き、演台の近くに転がっていた。

 間もなく、場内には司会者の機転で「ご静粛に。爆竹です。実害はありません」とアナウンスが流れたが、約2千人の聴衆で埋まった会場は騒然となった。

 首相や閣僚、党三役らが講演中に狙撃されたのは戦後初。彼らを警護対象としている警察当局に、大きな衝撃を与えた。

 警察庁は全国の警察本部に要人警護の強化を指示。この事件を機に警備態勢も大きく変わった。警護対象者に視線を向け、周囲から近づく不審者に目を光らせていたが、対象者と同じく聴衆側を向く「対面警護」(背面配置)に改められ、全国の警察本部で初めて金属探知機が導入された。

 当時、足利署警備課長として金丸氏の警護を指揮した荒山秀夫さん(64)は事件を振り返ると、今も悔恨(かいこん)の念にさいなまれるという。

 金丸氏は北朝鮮訪問やその際の発言から自宅に火炎瓶を投げられる事件があった。そのため、このときの県警の警備も厳重を極め、足利では周辺や会場内に約50人の警察官を配置していた。会場内も、通路や壇上の正面などに通常の数倍の私服警官を配置し、荒山さんは舞台の袖から会場内を注視していた。

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