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【東日本歴史事件簿】
鬼熊、恋の復讐劇(下)突然の警察方針転換、標的失った熊は毒とカミソリで…

熊の応援者たちに有罪判決
10月2日の午後になって、熊の兄、清次郎は、熊に9月29日夜に饅頭に毒物を入れて渡したことを自白した。毒は、村内に住む姉婿、脇佐次郎(39)が印旛郡富里村(現・富里市)の薬種商から求めたという。さらに熊がどこか室内に泊まっていた証拠が出てきたことから、数人が取り調べられていたが、4日になって、久賀村消防第7部長の山倉長次郎(37)、田口米四郎(37)、鈴木一郎(31)の3人が犯人隠匿罪として、脇佐次郎、実父の福松(52)の2人が自殺幇助罪で千葉地裁八日市場支所検事局に送られた。翌(昭和2)年2月、千葉地裁八日市場支部で、鬼熊の隠匿ならびに自殺幇助事件の判決があり、4人に執行猶予付き判決、2人に無罪が言い渡された。
=敬称略
(原田成樹)