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【東日本歴史事件簿】鬼熊、恋の復讐劇(下)突然の警察方針転換、標的失った熊は毒とカミソリで…

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【東日本歴史事件簿】
鬼熊、恋の復讐劇(下)突然の警察方針転換、標的失った熊は毒とカミソリで…

鬼熊事件の容疑者、岩淵熊次郎が自殺を図り、運ばれていく様子=千葉県久賀村(現・多古町)(時事新報・大正15年10月1日)

 警察は、午前7時に血まみれの熊を逮捕、清次郎宅に護送して、多古町から出張してきた3人の医師が手当を実施。傷は長さ10センチ半、深さ5センチにも達するほか5カ所にわたって傷があったが頸動脈は外れており、最初は生命には別条ないという診断だったが、40日以上の山林生活で極度に衰弱しており、逮捕されるや否やぐったり気が緩み、眠るように30日午前11時25分、絶命した。

 集まった人たちの話では、熊次郎は、警戒が緩んだのを知ってかしらずか、張り込みの消防や密行の警察官の目をかすめて出沼の自宅に帰り、布団を敷いて毒をのんだが死にきれず、苦しみながらも先祖代々の墓地へ行き、もっていた日本カミソリで咽喉を切った。前日に食べた不消化の飯粒を吐き、着物は垢がべっとりとついた白いジャケット、木綿の棒縞単衣、カーキー色のズボンを履いていた。周囲は鮮血に染められ、逃亡後の艱難辛苦に頬はこけ、目はくぼみ、髪はぼうぼうと生えてものすごい形相だった。

 五木田氏は、熊のそばにたたずみ、「清次郎が自殺したと知らせてきたので駆けつけました。熊が私の顔を見ると苦悶しながら水、水と訴えるので、水を運んで来て与えると、手を合わせて拝みながらうまそうに飲み、『旦那すまない』と元気に2度繰り返したかと思うと、首をがっくりと垂れて虫の息となった」と語った。

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