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「いよいよ明日逮捕だ」 連続企業爆破事件・世紀のスクープ 警視庁記者たちが震えた40年目の真実

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「いよいよ明日逮捕だ」 連続企業爆破事件・世紀のスクープ 警視庁記者たちが震えた40年目の真実

昭和49年8月30日、東京都千代田区丸の内の三菱重工ビル(右)で起きた爆弾テロ事件。昭和50年5月19日の産経新聞朝刊は連続企業爆破犯に逮捕状の特ダネを報じた(コラージュ写真、画像を一部加工しています)

 《トイレの中で受け取った爆弾闘争教本 『配線に癖がある』》

 山崎 (犯人グループの爆弾闘争の教本だった)腹腹時計の入手は私にとって、そんなに大した出来事ではない。地下出版されていた腹腹時計を「あれじゃないの」と教えてくれた協力者は警視庁内にいた。公然と警視庁内で受け取るのはまずい。新橋の古いビル内のトイレで受け取った。最初に読んだとき、「これは犯人だな」と確信した。そして、「どんな爆弾でも中を開いたら配線に癖がある」と別の警視庁内の協力者が教えてくれた。「その似ているものはこれまでの事件であったの」と聞くと、「ある」と答えた。

 鈴木 確か、事件の発生から1週間後位だった。そんな早い時期に、事件の本筋にスパンと入っていく記事を書いたことはすごいことなんです。

 山崎 その情報を入手したのは、警察であって私ではない。関係ないんですよ。警察の上取りをしたにすぎない。

 《犯人グループの犯行声明がスクープを裏付けた》

 生原 補足するとね、彼の「腹腹時計」のスクープは9月5日。事件は8月30日だから、6日後のことだった。9月28日に犯行声明が出る。共同通信に「狼グループ」から届いた。まさに、腹腹時計のニュースの重さを、ホシが裏付けたことになる。まったく知られていなかった「狼グループ」の解明はそれから始まるが、最初に書いた意味は大きいと思う。それからドラマチックな展開になり、捜査が進んでいく。捜査本部も腹腹時計に注目はしていたけれど、犯行声明が出たことでギアが入ったのではないか。ひとつの大きなポイントだったといえる。

 山崎 連続企業爆破事件ではないが、神奈川・総持寺で爆破事件が起きた。この事件について、「狼グループがやった可能性が高い」と正月1面トップを狙ったらボツにされ、3日か4日の第2社会面に掲載された。これは悔しかったね。

 村上 刑事部と公安部の合同捜査本部だったのだけれど、捜査1課担当だったから同時に鑑識課も担当していた。刑事部は(犯人に直結する)公安筋の分析はできない、極端に言うと、殺しばっかり追っかけているから。だから、捜査1課担当がやることは、目撃者捜しと鑑識の物証の取材だった。公安的な思考ができないから、腹腹時計を読んでも「ふざけた本だな。なんだ、これ」くらいにしか考えられなかった。鑑識では、爆弾の復元に注目が集まっていた。

 鈴木 産経がよかったのは、村上記者から鑑識の正確な情報がどんどん入ってきたことだった。

 小野 村上記者は、鑑識専用のお風呂に一緒に入っていた伝説があるくらい鑑識に強かった。

 村上 一連の爆破事件は全部で11件起きた。そうなると、爆弾も11個ということになる。このうち、5~6件は爆弾容器の形状と構造をスクープしたと思う。

 鈴木 村上記者の鑑識情報は、韓国産業研究所爆破事件の爆弾が一番詳しかった。結局、この事件から犯人逮捕につながることになる。

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