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裁判員の視点どう確保…公平性と柔軟性、難しい均衡 裁判員の死刑破棄

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裁判員の視点どう確保…公平性と柔軟性、難しい均衡 裁判員の死刑破棄

 裁判員の“国民視点”をどう反映するのか。控訴審の死刑破棄を正当とした最高裁決定の補足意見で、千葉裁判長は、「判例の集積からうかがわれる検討結果を量刑を決める共通認識とし、それを出発点として評議を進めるべきだ」と指摘。刑の公平性を踏まえる必要があるとした一方、「従前の判例を墨守するべきであるとはしていない」と、必要以上に先例に縛られない柔軟性も求めた。

 これまでも裁判員の判断が控訴審で覆る度に「制度の趣旨が損なわれた」との批判が出た。千葉裁判長も今回の補足意見で、「職業裁判官のみで(判決が)変更されれば、導入の意味がないとの批判もあり得る」と認める。その上で控訴審に「裁判員裁判を、職業裁判官が専門家の感覚と異なるとの理由で安易に変更してはならない」と求めた。

 それでは「国民視点の反映」をどう実現するのか。

 検察側求刑の1.5倍にあたる懲役刑を言い渡した裁判員裁判判決を破棄した昨年7月の最高裁第1小法廷判決では、「裁判官は重要な事柄を裁判員に説明し、正しい理解を得た上で評議を進めるべきだ」との補足意見が付いた。今回の決定や補足意見はそこまでの注文を付けなかったが、裁判官と裁判員の「共通認識」を求めている。

 最高裁は過去、裁判員裁判の目的を「国民の視点や感覚と法曹の専門性とが交流することで刺激し、それぞれの長所が生かされる裁判を目指す」と指摘。千葉裁判長も「国民の参加を積み重ねることで、長期的に見て国民の良識を反映した実りある刑事裁判が実現されることを信じる」との思いを込めた。制度の成熟に向け、刑の公平性を損なわない上で国民視点を反映させるためには、裁判員裁判を担当する裁判官の担う役割は大きい。

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