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【日本の議論】欧米で発覚「サイバー攻撃版・インサイダー取引」 日本は不正取引として摘発できぬ“時代錯誤”

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【日本の議論】
欧米で発覚「サイバー攻撃版・インサイダー取引」 日本は不正取引として摘発できぬ“時代錯誤”

通常のインサイダー取引としては処罰できない?

 加えて法律上の問題も横たわる。インサイダー取引は通常、金融商品取引法で処罰されるが、サイバー攻撃を想定していない。処罰できる条文はあるが、適用事例の積み重ねや法解釈の整理ができていないのが現状で、専門家は新たな対策の必要性を訴える。

 そもそもインサイダー取引とは、公表前の情報を知った役員など企業関係者や彼らから情報を聞いた知人・家族などの情報受領者が、その公表前に株式を売買する行為などを指す。しかし、サイバー攻撃で情報を“盗み出した者”は企業関係者や情報受領者に該当せず、通常適用される金商法166条の規定では罰せられない。

 そこで浮上してくるのが157条だ。条文は「有価証券の売買、その他の取引またはデリバティブ取引等について、不正の手段、計画または技巧をすることを禁止する」と曖昧な表現となっている。これは、金融取引が高度化し、新たな手法でのインサイダー取引や相場操縦が登場した場合に備え、包括規定としての役目を負っているとされる。

 ただ、犯罪の構成要件はできる限り明確にすべきという考え方がある中で、この適用範囲の曖昧さゆえ、157条の適用事例は昭和40年の1件のみ(当時は証券取引法)。事件内容は、無価値の株に偽装の株価を付けるため証券会社の外務員らが仮想の売買を行うというサイバー事案とは大きく異なるものだった。157条は金商法の“伝家の宝刀”のような存在だ。

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