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【ニッポンの分岐点】暴力団(2)経済ヤクザ 企業に寄生したバブルの寵児

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【ニッポンの分岐点】
暴力団(2)経済ヤクザ 企業に寄生したバブルの寵児

 「コンプライアンス(法令順守)の意識が乏しかった時代。土地をまとめるのに裁判なら時間がかかるので、手っ取り早く地上げする裏社会に頼んだ不動産会社もあった」。旧第一勧業銀行出身の作家、江上剛(60)はそう話す。地価は日々刻々と上昇しており、時間をロスすれば土地購入の経費が増える。短時間で複雑な権利関係の土地をまとめる上で暴力団の力が役立ったのだ。

 暴力団は地上げなどで手にした資金を株取引でマネーロンダリング(資金洗浄)しながら、さらに資産を増やしていく。平成2年には繊維製品大手「クラボウ」の株を、宅見組系の不動産会社が買い占め、事実上の筆頭株主となった。その後、売却益などで多額の資金が宅見側に流れたとみられている。そのころから山口組の東京進出も本格化した。

 日弁連の元民事介入暴力(民暴)対策委員会委員長を務めた弁護士の篠崎芳明(73)は「暴力団側は警察に捕まる危険がある従来の違法なシノギより、大企業に寄生し利益を横取りした方がはるかに安全だった」と振り返る。

欠如した企業モラル

 だが、地価高騰を抑えようと公定歩合引き上げや、不動産融資の総量規制が実施されると、不動産価格と株価は急落。3年にバブル景気は崩壊し、金融機関は巨額の不良債権を抱えた。同時期に野村証券、日興証券と、指定暴力団稲川会元会長、石井進との取引が発覚。石井らは東急電鉄の発行済み株式数の2%強まで買い進め、株を担保に両証券系列の金融会社から360億円の融資を受けたことも判明した。

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