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【ニッポンの分岐点】暴力団(2)経済ヤクザ 企業に寄生したバブルの寵児

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【ニッポンの分岐点】
暴力団(2)経済ヤクザ 企業に寄生したバブルの寵児

 昭和の終わりから平成の初頭の一時期、日本中はバブル景気に沸き返った。この時代に「経済ヤクザ」と称された山口組若頭の宅見勝(宅見組組長)らが暗躍した。暴力団は裏社会から表経済に進出し、地上げや株取引などで資産を増やし組織を拡大していった。経済ヤクザを表経済に引き込んだのは、世間に名を知られた銀行や不動産会社など一流企業群だった。

日経新聞でネタ探し

 「こないもらえるんか」

 段ボール10箱に入った現金を見て、宅見組組員は驚いた。現金は1箱に1億円ずつ詰め込まれ、総額10億円の大金だったからだ。宅見と付き合いがあった関東在住の企業経営者にとって、今でも印象に残る出来事だ。

 昭和の終わりごろ、ある大手銀行のトラブルに介入した宅見組が銀行側の代理人と都内で交渉するにあたり、組員は宅見から「強気の交渉してこいや」と指示を受けていた。組員は交渉の場で相手に指を1本立てたが、「せいぜい1千万か1億か」と思っていたところ、届けられたのが10億円だったと知り驚愕(きょうがく)した。

 急遽(きゅうきょ)、レンタカーで大阪へ運んだが、現金の重みでカーブでは車のバランスが崩れるなど運転に苦労した。経営者は「まだ大阪までバブルの恩恵が及んでいなかった時期。東京の桁違いの羽振りの良さを宅見組長は実感した」と振り返る。10億円を受け取ると、宅見には東京進出という野望に火が付いた。

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