北海道地震と大停電 産経「原発でリスク小さく」/朝日「一極集中型には弱点」

社説検証
停電で暗くなった狸小路商店街を、スマホの明かりで歩く人たち=6日午後、札幌市中央区(宮崎瑞穂撮影)

 日本初の「ブラックアウト」が北海道で発生した。突発的な地震や設備故障などの影響で発電所の出力が消費電力を下回り、電力供給が不安定になって予想外の大規模停電に至る事態である。東日本大震災直後でも起きなかったブラックアウトがなぜ、北海道を襲ったのか。

 北海道胆振地方で6日未明、最大震度7の強い地震が起き、震源に近い北海道電力の苫東厚真火力発電所が緊急停止した。同発電所は道内電力の半分を担う主力拠点だが、この停止で他の発電所に一気に負荷がかかり、道内の全電源が沈黙した。

 産経が「全道民約530万人の生命線である電力の早期復旧に総力を挙げなければならない」、毎日も「電気の供給なしに現代社会は立ち行かない」などと各紙が電力供給の早期再開を求めたのは当然だ。

 この大規模停電について「北海道ならではの事情も重なった」と指摘するのは日経である。北海道と本州を結ぶ送電線の容量は60万キロワットと限られている。その能力増強にも多額の費用がかかり、電気が足りなくなっても本州から迅速に送ることはできない構造にあるからだ。

 また朝日は「一極集中型の体制の弱点があらわになった」と批判する。苫東厚真発電所が被災したのをきっかけに需給バランスが大きく崩れ、システムが不安定になったのがブラックアウトを引き起こした原因だからだ。

 東京も「大規模発電所への過度な依存を改め、再生可能エネルギーの活用を視野に発電所の配置を見直し、本州も含めた連携網、つまり需給調整の機能の強化が急務である」と断じる。1つの火力発電所に頼るのではなく、分散型電源として再生エネの拡充などを求めた。

 しかし、北海道電力が苫東厚真発電所に依存する構造になったのは、同社が保有する泊原子力発電所の再稼働が大幅に遅れているからだ。

 泊原発は原子力規制委員会の安全審査を受けているが、その審査作業は長期化している。

 こうした危うい電力供給をめぐって読売は「東日本大震災後に停止された泊原発の3基が稼働すれば、供給力は200万キロワットを超える」と指摘したうえで、「原発が稼働していないことで、電力の安定供給が疎(おろそ)かになっている現状を直視すべきだ」と訴える。

 産経も「ベースロード電源である原発にブラックアウトのリスクを小さくする役割があることを、再認識すべきである」と強調し、泊原発が稼働していた方が大停電に陥る危険度は低く、「復旧の主力になったはずだ」と論考する。

 日経は「他の電力会社でも同様の事態が起きないとは限らない」と提起する。そして「すべての発電所が止まる事態をどう回避するのか。あらゆる事態を考え、点検すべきだ」と警鐘を鳴らす。

 北海道の停電はその後、ほぼ解消されたが、計画停電を検討するなど今も電力不足は続いている。計画停電は避難所で過ごす被災者らにさらに不便な生活を強いることになり、産業の復興にも打撃を与える。道民の節電協力を得て、こうした事態の回避に全力を挙げたい。

 ブラックアウトは、電力が暮らしや産業を支える最重要な基盤である現実を改めて突きつけた。どんな場合でも電力を安定供給する体制を構築することが、政府や電力会社に課せられた責務であることは言うまでもない。安全性を確認した原発を含め、安定電源をバランス良く確保しておくことが、災害に強い国づくりにもつながると認識すべきだ。(井伊重之)

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 ■北海道地震と大停電をめぐる主な社説

 【産経】

 ・「完全復旧」に総力挙げよ(7日付)

 ・二次被害と関連死防止を(8日付)

 【朝日】

 ・まず人命救助に全力を(7日付)

 ・供給体制の弱さが出た(8日付)

 【毎日】

 ・全道停電はなぜ起きたか(7日付)

 ・停電の悪影響を最小限に(8日付)

 【読売】

 ・電力インフラが直撃を受けた/救助と市民生活の復旧が急務だ(7日付)

 【日経】

 ・北海道地震で露呈した電力供給の弱点(7日付)

 【東京】

 ・集中は、もろく危うい(7日付)