両親と祖母が…涙枯れ果てた 無言の対面「つらすぎる」

北海道震度7地震
厚真町吉野地区で、行方不明者の捜索をする自衛隊員ら=8日午後、北海道厚真町(桐原正道撮影)

 無事を祈る家族の焦りが募る中、全力の捜索が続いた。北海道で震度7を記録した地震から3日目となる8日。多数の安否不明者が出ている厚真(あつま)町では新たに心肺停止状態の住民を確認。自衛隊員らは生存率が急激に下がるとされる「72時間の壁」を前に土砂をかき分けた。家族が犠牲となった人たちの悲しみが広がる一方、日常に向けた一歩を踏み出す被災者の姿も見られた。

 「泣いて泣いて、泣きすぎて、涙も枯れ果てました」。土砂崩れで実家が倒壊し、両親が死亡した厚真町職員、中村真吾さん(42)は呆然(ぼうぜん)とつぶやいた。

 町内の施設で7日、父の初雄さん(67)と母の百合子さん(65)の遺体と対面した真吾さんは、「静かな、安らかな顔でした」と話した。「何とか助かってほしい」と無事を祈っていた祖母、君子さん(94)も8日午後、現場から発見され、死亡が確認された。

 地震当日、強烈な揺れにたたき起こされた真吾さんは家族の無事を見届け、有事の安全確認のため巡回を始めた。間もなく、土砂崩れに巻き込まれた民家が目に飛び込んできた。初雄さんらと連絡がつかず不安が募る。3人が住む富里地区の実家は周辺に着くと、一面が土砂に埋もれていた。

 コメ農家だった初雄さんは一本気で義理堅い人柄。元自治会長で地域の人から信頼が厚く「はつおちゃん」と親しまれた。百合子さんは地区婦人会の会長を務め、誰にでも優しく家族思いだったという。百合子さんが保管していた真吾さんらの写真を収めたアルバムが現場で見つかった後、近くから2人の遺体が発見された。「自衛官の方が早く見つけてくださって…」と言葉を詰まらせた真吾さん。町関係者の男性から新たな遺品が見つかったことを伝えられると「ありがとうございます」と毅然(きぜん)と応じ、確認に向かっていた。

 「当たり前のことだけれど、人が亡くなれば死亡届や葬儀などいろいろなことをしなければならない。今の現実が、夢としか思えない」。現実を必死に受け止めようとしていた真吾さんだが、「3人いっぺんに亡くなってしまうのは、つらすぎる」と肩を落とした。

 町関係者は「真吾さんは震災直後から、ご両親たちが厳しい状況であると分かりながら、他の町民を思って震災対応に懸命にあたってくれた。心中察するに余りある」と声を震わせた。