「毛布滑り落ちるイメージ」…表層のもろい軽石崩壊 専門家指摘 前日台風も影響か

北海道震度7地震
地震による土砂崩れで、田んぼに流れ出した土砂や木=7日午前11時42分、北海道厚真町吉野地区(小型無人機から)

 北海道厚真町では、町の北半分にある山間部のいたる所で土砂が崩れ、道路沿いの集落がのみ込まれた。崩れたのは急傾斜地の表層で、過去の火山噴火で降り積もった、もろい軽石層とみられている。前日の台風や平年を上回る夏の降水量で地盤が緩んでいた可能性もあり、専門家は「岩盤を覆う軽石の毛布が滑り落ちたイメージだ」と指摘した。

 国土交通省によると、土砂崩れは厚真町の中央部にある役場から北東側の厚真川本流・支流沿いの山間部で多発。発生数などは現在調査中で、隣接する安平(あびら)町、むかわ町でも起きた可能性があるという。

 産業技術総合研究所の石塚吉浩・火山活動研究グループ長によると、軽石は火山の直下でマグマが発泡し、爆発的噴火を起こしてできる。厚真町には硬い岩盤の上に、約40キロ西にあるカルデラの支笏(しこつ)湖を作った約4万年前の噴火による軽石が約4メートル堆積。支笏湖周辺の恵庭岳(えにわだけ)や樽前山の噴火による軽石も約50センチずつ積もっている。

 石塚氏は「流出した堆積物に大きな岩や石は見えない。今回崩れたのは岩盤の上にあった軽石層だ」との見方を示した。支笏カルデラの軽石は黄色がかっており、恵庭岳はオレンジ色、樽前山は白っぽい色をしている。堆積物の色合いから、これらが起源と考えられるという。

 厚真では地震発生前日の5日に台風21号の影響で12ミリの雨が降ったほか、6~8月の降水量は計570・5ミリで平年値(366・2ミリ)の約1・6倍に上る。石塚氏は今夏の雨量で地盤が緩んでいた可能性を指摘し「もろくて不安定な軽石が毛布のように一気に落ちたのだろう」と述べた。

 また、震源に近かったことも影響。京都大学防災研究所の釜井俊孝教授(斜面災害研究センター長)は「浅い部分が共鳴してよく揺れると同時に、それらを突き上げて引きはがすような短周期の上下動が強烈だったと考えられる」と指摘した。軽石層が滑り落ちる斜面崩壊は、平成28年の熊本地震や昭和43年の十勝沖地震でも発生したという。