「帰国事業は人権侵害」脱北者らが北朝鮮政府に5億円賠償求め提訴

 

 北朝鮮帰国事業で人権を侵害されたとして、日本への脱北者5人が20日、北朝鮮政府を相手取り、計5億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。弁護団によると、北朝鮮政府を相手取った訴訟は初めてという。

 北朝鮮は昭和34~59年、「地上の楽園」と宣伝し、在日朝鮮・韓国人と、日本人配偶者ら家族の北朝鮮への集団的移住・定住を推進。日本政府も協力し、約7000人の日本国籍者を含む9万3000人以上が渡航したとされる。

 訴状によると、原告らは虚偽の宣伝にだまされて渡航し、長期間にわたり人権を抑圧されたと主張。事業は国家的な誘拐行為で、現在も北朝鮮に残る家族と面会できないままになっていると訴えている。

 民事訴訟法では、日本の裁判所が国際裁判の管轄を持つのは「不法行為が日本であった場合」とされているが、弁護団は虚偽の宣伝は日本国内で行われたなどとして、日本の裁判所で争える、と主張している。

 東京・霞が関の司法記者クラブで会見した在日朝鮮人2世の原告、川崎栄子さんは「裁判で勝って北朝鮮に残る子供たちに再会したい。北朝鮮を動かすには世界中の世論を総動員しなければならない」と語った。