東京医大、裏口入学者どうする 減点不合格の救済は? 補助金減額や返還も…くすぶる火種

文科省汚職

 女子合格者を抑制するための得点調整などが判明した東京医科大(東京都新宿区)で、別の火種がくすぶっている。加点により合格した受験生と合格枠から押し出された受験生への対応のほか、不正入試に伴う巨額の補助金返還問題に直面しているのだ。設立100年以上の老舗医大で起きた不祥事は、大学のイメージダウンだけでなく、経営基盤を揺るがす事態にも発展しそうだ。(花房壮)

「自主退学」勧告も

 「得点調整そのものは大学側が行っており、学生の地位剥奪はふさわしくない。対応は教授会で慎重に検討する」

 不正入試に関する内部調査報告書が公表された7日、東京医大側は会見を開き、学生への基本的な対応方針を示したが、具体策は教授会に委ねた。

 報告書は、昨年と今年の医学部医学科の1次試験で計19人に最大49点を加点したと指摘。今年の対象者には、文部科学省の私大支援事業をめぐる汚職事件で、受託収賄罪で起訴された同省前局長の佐野太被告(59)の息子も含まれ、10点が加点されていた。

 大学側はとりわけ佐野被告の息子の対応に慎重だ。報告書でも退学と地位保全の考え方が併記されている。内部調査委は刑事手続きで賄賂が没収対象となることから、「合格者の地位」を賄賂とみなせば、「自主退学を勧める選択肢もあり得る」と言及。ただ、加点しなくても合格していた可能性があり、息子が得点調整を認識していたなどの事情が認められない限り「地位を奪う処分は難しい」とも指摘している。

「誠心誠意の検討」

 同大では、今年の2次試験の小論文で、女子と3浪以上の受験生の点数を減点し、合格を抑制していたことも問題視されている。

 減点措置については「根絶する」と明言し、不利益を被った受験生への対応についても「誠心誠意検討する」と約束している。

 ただ、減点により具体的に何人が不合格になったのか現時点で把握できていない。会見では宮沢啓介学長職務代理が個人的な意見として追加合格の意向を示したが、大学としての具体的な救済方針は不透明だ。

 こうした女子受験生らへの減点は少なくとも平成18年度から実施されていた可能性が内部調査で判明しており、波紋を広げている。

 9日には、女子受験生が入試で差別的な扱いを受けたことに抗議する集会が都内で開かれ、市民ら約60人が参加。過去の受験生への試験結果の開示に加え、早期の追加合格者の決定や、受験料の返還など早期救済の必要性を訴えた。

数年分なら巨額に

 経営面への影響を与えそうなのが、補助金の減額問題だ。取り扱い要領には不正入試が確認された場合のペナルティー規定があり、文科省はすでに毎年20億円程度が交付されている同大への補助金を減額させる検討に乗り出している。

 事案の性質に応じて「10%減」「25%減」「50%減」「75%減」「不交付」の設定があり、どれに該当するかは通常の場合、有識者の議論を経て年明けに決まる。文科省幹部は「不正入試が常態化していた可能性が高く、悪質性は極まりない」とし、大幅減額になる見通しを示唆した。

 また文科省は同大に対し過去6年分の入試での不正の有無などを報告するよう求めており、不正が確認されれば過去にさかのぼって返還する事態にもなりかねず、返還額も巨額になりそうだ。

 13年に表面化した帝京大医学部が合格発表前に受験生の保護者から寄付金を集めていた問題では、過去5年間に交付された約64億円のうち約49億円の返還が命じられた。

 ■東京医科大の不正入試問題

 文部科学省の前局長、佐野太被告の息子が加点により合格したとされる問題を受け、東京医大の内部調査委員会が調査。昨年と今年の1次試験で受験生計19人に不正に加点していたことが判明。小論文を課す2次試験では全員に「0.8」を掛けて一律減点した上で、現役、1~2浪の男子に20点、3浪男子に10点を加点し、女子と4浪以上の男子に加点しなかった-ことが明らかになった。