【オウム死刑執行】遺骨争いに聖人扱い 公安、6人の神格化懸念 - 産経ニュース

【オウム死刑執行】遺骨争いに聖人扱い 公安、6人の神格化懸念

岡崎一明死刑囚
横山真人死刑囚
 広瀬健一死刑囚
 豊田亨死刑囚
 端本悟死刑囚
林泰男死刑囚
法務省が入る中央合同庁舎=26日午前、東京都・霞が関
地下鉄サリン事件で、路上に設けられた救護所= 1995年3月、東京・地下鉄日比谷線築地駅前
オウム真理教事件の死刑囚と収容先の拘置所
 オウム真理教の元幹部、岡崎(現姓・宮前)一明死刑囚ら6人の死刑が執行され、公安当局は6人の遺体の神格化を懸念し、警戒を強めている。元教祖の麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫(ちづお)=の遺骨引き取りをめぐっては四女(29)側と、妻、三女(35)側が対立する事態に発展。6日に死刑が執行された元幹部1人の遺体は後継団体が引き取っており、今後も遺骨や遺品が後継団体の正当性を示す象徴になる可能性があるためだ。
 関係者によると、麻原元死刑囚は執行直前、自身の遺体の引き取り先に四女を指定した。これに対し、三女は自身のブログで「作られた話ではないか」と疑問視。妻と三女らは「遺体は祭祀(さいし)の対象」として引き渡しを求めた。
 公安当局は、妻、三女らが後継団体「アレフ」と関係している可能性があるとみる一方、四女は教団との関係を絶ったとみている。
 麻原元死刑囚の“遺言”に対しては、神格化を懸念する「当局の陰謀」を疑う声も一部にあったという。
 だが、ある政府関係者はこの「陰謀説」を明確に否定。実際、法務省は遠藤誠一元死刑囚=同(58)=の遺体をアレフに引き渡している。政府関係者は「正直、驚いた。まさか四女を指定するとは思っていなかった」と打ち明ける。
 沈黙を貫いてきた麻原元死刑囚がなぜ四女を指名したのか。アレフでは、成人した次男を正式に教祖に迎えようとする動きがあったが、三女が反対。三女に同調した幹部が除名されるなど教団運営に混乱が生じたといい、専門家は「自分の遺骨を利用されることを嫌がった」(元警視庁公安部の江藤史朗氏)とみる。
 遺骨受け入れを表明している四女側は遺骨の神格化を懸念し太平洋に散骨する方針だが、法務省は訴訟に発展する可能性もあるため「当面は東京拘置所で預かる」(幹部)としている。
 一連の事件を受け、政府はオウム真理教に対し破壊活動防止法(破防法)に基づく「解散指定」を請求したが、公安審査委員会は平成9年、請求を棄却。アレフと、元幹部の上祐史浩代表が設立した「ひかりの輪」など3団体は「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)」に基づく観察処分の対象となった。
 公安調査庁は麻原元死刑囚ら7人の死刑が執行された6日、特別調査本部を設置し、アレフなどの監視態勢を強化した。現時点で信者らに危険な兆候はみられないが、今も麻原元死刑囚に帰依する信者は少なくなく動向を注視している。