【衝撃事件の核心】チケット転売、キセル乗車…「AKBファン続けるのにお金必要」 横行する違法な“節約術” - 産経ニュース

【衝撃事件の核心】チケット転売、キセル乗車…「AKBファン続けるのにお金必要」 横行する違法な“節約術”

 人気アイドル「AKB48」のコンサートチケットを転売目的で購入したとして、警視庁に逮捕された大学生ら20代の男らが、AKB48グループのイベント参加のため新幹線のキセル乗車を常習的に繰り返した疑いがあることが、捜査関係者への取材で分かった。男らは「ファンを続けるにはお金が必要」などと供述。男らの間でキセルを助ける行為を指す「MK(迎え)」の隠語は、他のファンによるキセル事件でも使われており、警視庁は違法な“節約術”が横行しているとみて警戒を強めている。(社会部 三宅真太郎)
「頼める?」ラインでやりとり
 警視庁保安課は5月、埼玉県内のコンビニエンスストアで、AKB48のコンサートチケット20枚を転売目的で購入した県迷惑防止条例違反容疑で、相模原市の私立大4年(22)ら男3人を逮捕した。
 同課によると、男らは偽名でチケットを購入したうえで、会場入場時に必要な身分証を家庭用プリンターなどで偽造し、セットで販売していた。約1年半で460万円を売り上げていたとされる。この犯行が発覚したきっかけは、キセル乗車の摘発だった。
 「1枚頼める?」。昨年12月、逮捕された3人とはファン仲間の大学2年の男(21)が新大阪駅から品川駅に向かう新幹線の中で、無料通信アプリ「ライン」でメッセージを送った。新大阪駅には入場券で入っており、品川駅で同駅発行の入場券を入手してキセル乗車する算段だった。
 3人のうち埼玉県内の会社員の男(22)が「大丈夫」と返信。自身の分も含めて入場券2枚を購入して品川駅に入り、入場記録をつけた1枚を渡そうとしたが、その様子が不審だったことから駅員に取り押さえられ、警視庁に建造物侵入容疑で逮捕された。
「ネットワークは数百人」の供述も
 捜査関係者によると、3人への捜査の過程で、昨年7月21日付の入場券の領収書を押収。ラインでは、駅構内で入場券を渡す手助け行為を「MK」と称して頻繁にやりとりしていたとされ、同庁は遅くとも昨年夏ごろから、AKB48グループ関連のイベント参加のためにキセル乗車を常習的に繰り返した疑いが強いとみている。
 警視庁が昨年11月、同様の手口でキセル乗車を手助けした容疑で逮捕した大学生の男はAKB48グループの「HKT48」のファンで、仲間との間で「MK」を使用。男は当時、「キセル乗車の手助けができる者は、福岡・大阪・名古屋など各地におり、ネットワークは数百人に及ぶ」と供述しており、そのような状況の一端が浮かび上がった格好だ。
 今回逮捕された3人のうち、主導的な役割を担った私立大4年の男は「ファンを続けるためにはカネが必要。ほかにもやっている人間はいっぱいいる」と供述。スーパーでのアルバイト代もファン活動に費やしていたという。
握手券窃盗、CD不正購入
 AKB48グループでは、CDの購入枚数が多ければ人気投票「選抜総選挙」で投票できる投票券や、イベントでの握手券の枚数が増える。このため、一部のファンらが握手券の窃盗や偽造、他人のクレジットカードを使ったCDの不正購入などの違法行為が問題視されている。
 アイドル産業に詳しいフリーライターの大坪ケムタさんは「アイドル産業全体としてファン活動の費用が多額になる傾向にある」と指摘したうえで、違法行為について「捕まっているのは大学生などの若者。お金に余裕のない世代が中心となってグループ化することで、モラルや規範意識が薄くなってしまうのではないか」と分析する。
 警視庁幹部は「善良なファンが損をして、悪質なファンが得をするのは許されない。取り締まりを強化していく」と話している。