【オウム死刑執行】麻原元死刑囚の遺骨 四女が引き取り意向も専門家は事件を懸念 - 産経ニュース

【オウム死刑執行】麻原元死刑囚の遺骨 四女が引き取り意向も専門家は事件を懸念

麻原彰晃元死刑囚の四女=2017年11月21日、東京・霞が関の司法記者クラブ(滝口亜希撮影)
 オウム真理教の元教祖、麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫(ちづお)=が火葬された今も元死刑囚に帰依する信者は少なくない。遺骨は教団の後継団体との関係を絶った元死刑囚の四女(29)に引き渡される見通しだが、妻らは「祭祀(さいし)の対象」として遺骨の引き取りに執念をみせている。専門家は「遺骨を奪うなどの事件に発展しかねない」と懸念する。
 「ばかにしているのか。ばかやろう」
 過去10年間の麻原元死刑囚の東京拘置所生活の一端がうかがえる裁判資料によれば、平成20年4月、「食事はしているか」と質問した精神科医師に、麻原元死刑囚はこう答えたという。
 21年4月に医師の診察を告げると、小声で「ありがとう」、24年1月には診察の連絡に「ごくろうさん」と答える場面もあった。
 関係者によると、6日に死刑が執行された7人のうち5人の遺体は親族、遠藤誠一元死刑囚=同(58)=の遺体はオウム真理教の後継団体「アレフ」に引き渡されたとみられ、残るは9日に火葬された麻原元死刑囚の遺骨だけとなった。一般的に、死刑囚の遺体は引き取られることが少ない。多くは拘置所が火葬し、無縁仏となって納骨堂などに納められるという。
 ただ、麻原元死刑囚が執行直前に自身の遺体の引き取り先に四女を指定したことに対し、妻と三女らが上川陽子法相らに遺体の引き渡しを求める事態に発展。妻らがアレフと関係している可能性もあるとみて、公安当局も動向を注視し、警戒を強めている。
 カルト宗教に関する裁判を手がけた江川剛(ごう)弁護士は「遺骨の引き渡しを求める活動自体が後継団体の活動を盛り上げることになりかねない」と指摘する。宗教学者の島田裕巳氏は「宗教家の遺骨は強い力を持っている。遺骨の行き先が今後最大の焦点」とみる。
 三女(35)は9日、自身のブログで「父が東京拘置所の職員と意思疎通ができなかったという客観的な事実からも、作られた話ではないかと感じております」と疑問を呈した。
 ただ、拘置所の医師は「意思疎通は会話面では不良であるが、こちらの話は理解していると考えられる」と診断。法務省も執行には問題ないと判断した。
 遺骨は当面、東京拘置所に保管されるが、四女は9日夜、代理人のブログを通じて遺骨の受け入れを表明し、こう訴えた。
 「もう麻原教祖に依存するのは終わりにしませんか。支配されるのは終わりにしませんか。松本元死刑囚のためでもあり、また信者も一人一人の人生を生きるためにです」(原文ママ)