【オウム死刑執行】奇声、あくび、ニヤリ… 語られなかった法廷 風化させぬよう社会で「問い」を - 産経ニュース

【オウム死刑執行】奇声、あくび、ニヤリ… 語られなかった法廷 風化させぬよう社会で「問い」を

オウム真理教元教祖の麻原彰晃死刑囚=1990年10月22日
 「グレーのスエット 目を閉じ生気のない顔」「オッ、オッ 奇声 右の拳を突き上げ 腕組みした後 左足を組む」「裁判長に足を組むのを制止される」(平成15年10月30日)
 「袖に線のトレーナー おぼつかない足どり」「被告人を前へ。これで審理を終えます。最後に述べたいことがあれば、これが最後の機会です。述べませんか(体を左に傾ける)これで審理を終結します」(15年10月31日)
 「10時43分 あくび」「10時50分 体を左右に」「11時25分 ニヤリ」「11時28分 ヌィヒヒヒ」(16年2月27日)
 刑が執行された麻原彰晃死刑囚の7年以上をかけた1審。最終弁論と判決言い渡しを裁判担当として傍聴した。ノートの走り書きを見返すと、どこか異様な法廷だったことを思い出す。
 何かを語るのではないか、いや語るわけがない。期待とあきらめ。結局、言葉は発せられず、控訴審も開かれないまま死刑が確定した。そして、語られる可能性は二度となくなった。
 「なぜ起きたのか」「なぜ命を落とさなければならなかったのか」「なぜ繰り返されるのか」
 いくつもの「なぜ」。問いかけはいつか、「どうすれば防げるのか」につながる。たとえ問いかける相手がいなくなったとしても、世代を超えて経験を共有し、社会のなかで問い続けるべきだ。さもなければ二の舞いを演じる。
 風化させてはならない。
 (東北総局次長 酒井潤)