【オウム死刑執行】法の下、毅然と刑執行 オウム無差別テロ 国民感情踏まえ - 産経ニュース

【オウム死刑執行】法の下、毅然と刑執行 オウム無差別テロ 国民感情踏まえ

逮捕され、拘置請求のため東京地裁に向かうオウム真理教の麻原彰晃容疑者=1995年5月18日、警視庁
 死刑廃止を世界の潮流と捉える日本弁護士連合会(日弁連)が「死刑廃止宣言」を採択するなど死刑反対運動が活発化する中、オウム真理教元教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(63)ら7人の執行を発表した上川陽子法相は6日、「法に従った慎重かつ厳正」な執行だったと強調した。法務省は被害者や遺族だけでなく、無差別テロという未曽有の凶行に対する国民感情も踏まえ、法治国家として粛々と刑を執行するという毅然たる姿勢を示した。(大竹直樹)
4代執行ゼロ
 刑事訴訟法は、死刑判決の確定から6カ月以内に法相の命令により刑を執行すると定めている。民主党政権時には4代の法相が執行ゼロを続けるなど、過去には思想信条などを理由に執行を命じなかったケースも少なくなかった。時の法相の個人的信条で執行の有無が決まるなら「法の下の平等」に著しく反する。
 死刑制度については、誤判の危険性や「死刑執行により更生の機会が完全に失われる」などとする批判もあるが、法相に確定判決の是非を判断する職責はない。
8割が存置支持
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、2015年末までに死刑を全面的に廃止した国・地域は102で、1996年の60から大幅に増加した。
 6日の会見でも、死刑廃止の世界的流れについて質問が出たが、上川法相は「国民世論の多数が死刑をやむを得ないと考えている。凶悪犯罪を犯した者には死刑を科すこともやむを得ない」との見解を示した。実際、国内の世論調査では、死刑制度の存続を求める意見が多数だ。内閣府の調査では、死刑存置の意見が8割を占めている。
 犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の高橋正人弁護士は「世界の潮流は凶悪犯の現場射殺だが、日本では射殺せずに逮捕し、厳格な裁判を経て、やむを得ない場合のみ死刑にしている」と指摘。「国民が死刑制度を支持している以上、法相が毅然と職務を執行することで社会の秩序が保たれている」と話す。
引き延ばし考慮せず
 オウム事件では麻原死刑囚を含め、再審を求めている死刑囚が複数いた。再審請求中の執行命令を禁じる規定はないものの、再審請求中の執行は避けられる傾向にあった。
 だが法務省は昨年7月、再審請求中の1人を執行。金田勝年法相(当時)は「再審請求をしているから執行しないという考えは取っていない」と強調した。同12月にも再審請求中の死刑囚を執行。“引き延ばし目的”の再審請求は考慮しないとの強い姿勢を打ち出した格好で、今回の死刑執行の地ならしにもなった。
 地下鉄サリン事件発生当時に主任検事を務めた元最高検次長検事の伊藤鉄男弁護士は、こう語った。
 「死刑判決が確定しても、執行されないままという状態は、判決の重さを十分理解していない。粛々と法律にのっとって執行するのは当然だ。最初の捜査から刑の執行まで行って、刑事司法が適正に運用されたといえる。今回の執行で、司法に携わる者として、ようやく役割が終わったと思う」