国内メーカー続く不正 利潤追求優先、縦割り 報告書から浮かぶ“病巣”

神戸製鋼データ改竄
【神戸製鋼データ改ざん問題】家宅捜索のため神戸製鋼東京本社に入る捜査員ら=5日午前、東京都品川区(川口良介撮影)

 国内メーカーの信頼を失墜させる不祥事が相次いでいる。神戸製鋼所の性能データ改竄(かいざん)事件で東京地検と警視庁が本社などを家宅捜索した5日には、SUBARU(スバル)の新たな燃費不正も発覚。昨年後半以降、三菱マテリアルや日産自動車なども不正を明らかにして謝罪している。「日の丸ブランド」の現場で何が起きているのか。各社の調査報告書からは、利潤追求優先や組織の縦割りなどの“病巣”が浮かぶ。

 神鋼の不正は製品の性能が契約上の品質基準を満たしているか調べる検査のデータ改竄で、素材メーカーの三菱マテリアルと東レの子会社でも同様の改竄が行われた。

 一方、自動車メーカーの日産とスバルの不正は、新車製造の最終工程の「完成検査」を、会社認定の「完成検査員」以外の従業員が行う無資格検査だった。

 各社の不正に関する調査報告書で背景の一つとして挙げられているのが、法令や契約を守る規範意識の薄さだ。日産では従業員の間に法令違反との認識がありながら、「技能に習熟しさえすれば、完成検査員に任命されていなくても完成検査を行って構わない」との意識が浸透していたという。

 利潤を過度に追求する経営姿勢や、製品の納期への重圧が不正の温床になったとの指摘も目立つ。

 神鋼では遅くとも1970年代から不正が行われ、業務や工程の一部になるほど常態化。報告書は同社に根付く「生産・納期優先の風土」が、「無理な受注や顧客仕様の軽視」につながったと指摘する。

 三菱マテリアルの子会社では利益確保のため「生産能力を超えた無理な受注」が恒常化した。顧客基準を満たさなくても品質に影響がなければ顧客の了承を前提に引き取ってもらう商慣行「特別採用(トクサイ)」を神鋼と同様に悪用し、データを改竄して出荷。検査部門が「特採処置実施規定」と名付けた改竄マニュアルを作成していた。

 報告書は、経営陣や管理職と現場とのコミュニケーション不足や、組織体制の硬直化も“不正の芽”として断じる。神鋼では「(生産)拠点相互間の人事交流や人事異動も少なく、閉鎖的な組織運営」が行われために不正の連鎖が起こったと指摘。日産でも本社や工場の管理者と、現場の従業員との間で異動が乏しいといった多くの壁があり、報告書ではこうした「縦割り組織の弊害」が問題視された。

 不正発覚によって、神鋼は経営陣の刷新を余儀なくされ、日産やスバルが販売台数の大幅減少に見舞われるなど、企業側は大きなダメージを受けた。

 企業統治に詳しい猿倉健司弁護士は「企業内での不正を完全に排除することは難しい。不正をいち早く把握し、情報公開につなげる体制の構築が必要だ」と警鐘を鳴らす。