【神戸製鋼データ改竄】納入先600社超、絞り込み焦点 - 産経ニュース

【神戸製鋼データ改竄】納入先600社超、絞り込み焦点

家宅捜索のため神戸製鋼東京本社に入る捜査員ら=5日午前、東京都品川区(川口良介撮影)
 神戸製鋼所が性能データを改竄した製品の納入先は600社以上と膨大で、捜査当局は今後、立件に向け、対象範囲を絞り込むとみられる。OBを含む役員5人が改竄を把握していたことも判明しており、個人の責任追及の可否も捜査の焦点となりそうだ。
 捜索容疑となったのは、商品の品質に関する虚偽表示などを禁じる不正競争防止法違反。神戸製鋼の一部工場で改竄が始まったのは遅くとも1970年代とされるが、虚偽表示の公訴時効は5年のため、捜査当局は平成25年以降を立件対象に調べを進める。
 ただ、改竄製品を対象にした同社の安全検証では5月18日までに強度不足などの実害は確認されていない。表示と実態の乖離の程度は各現場で異なるため、ある捜査関係者は「例えば製品表示が100、安全上必要な品質レベルが80とすると、実際の性能が98でも刑事責任を問えるかという議論はある」と指摘する。
 「100を下回った時点で外形的には虚偽表示は成立する」(企業法務に詳しい弁護士)のが原則だが、改竄に関わったとされる約40人の関与の度合いがそれぞれ異なる中、どこまで立件範囲を絞るかが課題となる。
 個人の責任を追及できるかもポイントだ。東洋ゴム工業(兵庫県伊丹市)による免震装置ゴムのデータ改竄事件では同社子会社が昨年12月、同法違反罪で罰金1千万円の有罪判決を受けた。同社幹部ら18人も書類送検されたが、大阪地検特捜部は「基準を満たすと考えていたと認める余地がある」として全員を不起訴処分にした。
 神戸製鋼の場合、現場で改竄に関与した担当者が役員になったケースもある。ある検察幹部は「担当者も管理者も数年おきに代わる中、それぞれがどの程度の不正を認識していたのか吟味が必要」と強調する。
 神戸製鋼の製品は米航空機大手のボーイングなどにも納入されており、米司法省が昨年10月に調査を開始。現地子会社に関連資料を提出するよう罰則付きの召喚状を出したほか、米国やカナダでは損害賠償請求訴訟が起きるなど海外にも影響が広がっている。
 別の検察幹部は「日本のものづくりの信用を失墜させた責任は重い。腰を据えて調べないといけない」と話した。