会見詳報(2)テレ朝女性社員以外の被害は「具体性なかった」

財務次官セクハラ疑惑
福田淳一前財務次官のセクハラを認定し、会見する矢野康治官房長(左)と伊藤豊秘書課長=27日、東京都千代田区(西村利也撮影)

 --処分内容を伝えたときに福田前次官は何か言っていたか。被害女性に対しては何か言っていたか

 伊藤氏「申し上げるのは差し控えたいと思う」

 --今朝の麻生太郎大臣の会見では、財務省の信頼を損ねたことなどセクハラとは別の理由で処分をするとしていた。この発表の数時間後にセクハラとして処分することになった理由は

 伊藤氏「大臣の発言を解説する立場にないが、財務省の中で別の議論があって認識が変わったことはない。少なくとも日中に変わったことはない」

 --大臣はセクハラ行為について断言できないと話していた

 矢野氏「当事者間の認識が合わなかった。認識が京津したのは、4月4日に飲食をともにした、その1点。もっとしっかり調査して、共通認識のエリアを広げて事実認定と処分の判断をするのがあるべき姿だと思うが、どうしてもそこから先へ進まなかった。しかし、4月4日の会話において女性が不快な思いをした。そのことを持って接点ができ、ギリギリの認定となった。(大臣は)断定でなく認定ということを話したのだと思う」

 --裁判でセクハラが認定された場合は追加処分はあり得るのか

 伊藤氏「今日の処分の中に入っているということだと思う」

 --減給処分は具体的にどのくらいの金額になるか

 伊藤氏「141万円です」

 --これは退職金の5300万円から差し引くのか

 伊藤氏「はい」

 --福田氏はセクハラについて裁判で今後争っていくのか

 伊藤氏「すでに次官を辞めており、福田氏が弁護士とどういう話をするのか承知しておらず、分からない。福田氏が訴訟について今後何をするか承知していない」

 --調査の中で福田氏は(週刊誌が公開した)録音の声を自身の声と認めているのか

 伊藤氏「福田氏が何を言っていたかは差し控えたい」

 --財務省は調査を終了するということだが、裁判の結果が出るまでは何もしないのか

 伊藤氏「基本的には、調査はこれを持って終了する」

 --再発防止に向けてどんなことを考えているか

 矢野氏「先日、大臣が幹部を集めて訓示をした。大臣の国際感覚などを踏まえて、セクハラ・パワハラをやっていてはいけないと、広い意味で直さないといけないと強い口調で訓示をした。研修や新しい方策をきちんと考えないといけない。女性の立場から、若い人の立場から英知を出し尽くしていきたいと思う」

 --セクハラはメディアの女性に対して行われた

 伊藤氏「組織が異なる加害者と被害者の間で行われたことは、非常に難しい点がある問題。決まったマニュアルがない部分の話と思っている。記者と、取材される側である私どもの関係をどうするか。苦情はどこに持っていけばいいのかなどを含めてよく考え、今後に向けて啓蒙(けいもう)も含めてやっていかないといけないテーマだと思っている」

 --テレビ朝日の女性社員とは別の被害者は、財務省として把握したか

 伊藤氏「4月16日に記者クラブに協力を要請したが、弁護士事務所に寄せられた被害は匿名で電話で1件あった。中身は具体性がなくて、それ以上どう調査すればいいか分からない抽象的なものだった」

 --今回の処分にはその女性に対する被害は含まれていないのか

 伊藤氏「含まれていない」

 --調査はいつ頃に行ったのか

 伊藤氏「弁護士事務所が福田氏から事情聴取したのは4月17日火曜日、21日土曜日、26日木曜日の3回と聞いている」

 --これまでの財務省の一連の対応を振り返って

 矢野氏「調査が財務省の顧問弁護士であることを(公平性がないと)批判されたが、そのあたりについて工夫の余地がなかったか反省したい。そうした中でテレビ朝日から手を挙げてもらい、事実認定ができたので、何とか調査の結果が出たと思っている。今後、仮にこういう事案が発生した場合にどういうスキームで対応するのが良いのかきちんと考えたい」

 --12日に週刊誌の報道があり、財務省としての正式な記者会見は今日初めて。説明しようという姿勢が乏しいのではないか

 伊藤氏「批判は甘んじて受けないといけないと思う。今日初めて結論を出すことができましたので、記者会見をしている。少し対応が後手になったところはあったと思う」

 --分かっている範囲でその都度、説明責任を尽くせば被害は軽くできたのではないか

 矢野氏「週刊誌報道が最初にあり、それに対して名指しされた職員が事実認定するところから始まった。福田氏にどこまでが本当か問いただすところから始まった。それを繰り返し、途中から弁護士事務所にバトンタッチしたが、16日の対応も一方的だと多大な批判を頂いた」

 「両方の言い分をある程度遡上(そじょう)にのせないと、どうして抗議を受けるのか分からなかったが、それでも批判を頂いた。福田氏からの聴取を逐次出すことは著しく弊害があったと思う。それは無理だった」

 --財務省の説明のあり方は信頼性を傷つけるのではないか

 矢野氏「(週刊誌が公開した)音声の鑑定をすべしという指摘もあったが、音声の中にある男の声は福田氏の声という前提で調査を進めており、福田氏の声であるかどうかをジャッジする必要はないと進めていた」

 --財務省側の説明が覆っているように思える。今後についてどう考えるか

 伊藤氏「財務省の仕事は税金を徴収したりと信頼がないとできない仕事。今回のことで、少なくとも皆さんが不安になる事態に陥ったのは事実と思う。セクハラは本人の言い分なのか、聴取をする側の財務省としての言い分なのか、対象が事務次官ということもあり、どう切り分けて説明できたのか難しかった。もう少しうまくできなかったか反省している」

 --今回のセクハラは省内の上下関係でなく、取材する側、される側で起きた。こうしたケースは人事院規則で想定されていないと聞いたが、減給20%、6カ月という処分をされた。人事院規則としてどのような見解を持っているか

 伊藤氏「人事院規則の10の10に照らした場合、人事院規則のセクハラに該当するかどうか微妙な解釈問題だが、今回の処分で判断したのは、人事院規則の中に仮にセクハラがあった場合にどういう処分、判断をするか、だった」

 --処分の141万円を差し引いた退職金はどれくらいの額になるのか

 伊藤氏「5300万円から141万円を自主返納する。辞めた人に減給処分はできない。こういうことをすると本人は了解の上で辞職している。5300万円から141万円を差し引くことを考えている」

 --そうなると5200万円程度となるのか

 伊藤氏「5100万円台になる」

 --矢野官房長は「被害者が名乗り出ることはそんなに苦痛なのか」発言を撤回する考えはあるか

 矢野氏「批判を頂いたと認識してます。ただ、私は答弁でそうは言っていません。財務省ではなくて弁護士、守秘義務がある弁護士、さらに名前を秘匿するという前提で聞くとした。全部申し上げて国会答弁させていただいた。『名乗り出ることが苦痛なのか』だけを聞いたら人でなしだと思われるだろうが、さすがにそこまでは言っていない。名乗り出なさいよ、といったつもりはない。それでも批判があることも分かりますので、繊細さを欠いたとすればおわび申し上げます」

 --調査方法や発言に改めて謝罪はないのか

 矢野氏「適切さを欠いていたとすればおわび申し上げます」

 --被害女性は「すべての女性が働きやすい社会になってほしいと心から思っている」と訴えている。セクハラを認定した今、この言葉の受け止めを

 矢野氏「まったくその通りだと思う。財務省という組織も、そういうそしりをうけないような組織にならないといけないと思う。被害女性の言葉を重く受け止めたいと思う」

 --人事院規則の認定について、「わいせつな言論を繰り返した職員は定職または減給とする」とするのもあるが、こちらで認定しなかった理由は

 伊藤氏「4月4日の部分は認定している。福田氏がテレ朝女性社員と1対1で会い、飲食した。それ以外で、どのようなセクハラ行為があったかは認定できていないので、そういう意味では『繰り返し』というところは認定できていない」

 --国民への財務省の信頼は失墜している。どう回復するのか

 矢野氏「セクハラ、パワハラといったようなことが一切起こらないようにする。仮に起こりそうになった場合は、解決されるように。従って、その結果、起こらないように、ということをしなければならない。本業である仕事を従来以上にやり遂げることで信頼を回復していく。従来以上の信頼を頂けるように努力するしかない」