会見詳報(1)矢野官房長「福田氏から十分な反証反論はない」事実を認定 調査は打ち切り

財務次官セクハラ疑惑
福田淳一前財務次官のセクハラを認定し、謝罪する矢野康治官房長(左)と伊藤豊秘書課長=27日、東京都千代田区(西村利也撮影)

 週刊誌でセクハラ疑惑が報じられ、財務事務次官を辞任した福田淳一氏について、財務省は27日、セクハラ行為が確認されたと公表。6カ月の減給20%の懲戒処分相当とし、約5300万円の退職金から差し引くと発表した。

 財務省は「調査に時間をかけすぎることも被害者保護上問題であるため、福田氏から特段の反論・反証がない限り、財務省としては、テレビ朝日が記者会見で明らかにした内容を前提として事実認定を行うこととした」と福田氏のセクハラ行為を認定した。

 セクハラ行為を否定する福田氏の主張に対し、4月4日夜にテレ朝の女性社員と1対1の飲食をしたことは認めたことやテレ朝が記者会見で明らかにした内容を覆すに足りる反論・反証を提示していないことを指摘。財務省としてセクハラ行為があったとの判断に至ったと結論づけ、処分の理由を説明した。

 矢野康治官房長と伊藤豊秘書課長の記者会見でのやり取りは以下の通り。

 矢野氏「セクハラ行為は被害女性の人権を侵害する行為で決して許されるものではないと考える。テレ朝には、その旨を社員の方にお伝えいただくよう伝えた。今回の事案は、約2週間、報道などを通じて国会審議にも混乱をもたらすことにもなっていることも、大変遺憾。関係者の方におわび申し上げます」

 《約20秒にわたり、頭を下げて謝罪》

 矢野氏「財務省の調査でこれ以上、詳細を明らかにすることは困難。調査に時間をかけすぎることは被害者保護上、2次被害が拡大するなどの恐れもあり、これをもって調査を終了する。財務省全体として、今回の問題をきっかけとして、どう対処していくか、セクハラ・パワハラを決して許さない組織の在り方について、女性をはじめとする職員の意見を聞いて、速やかに対応を検討する」

 《質疑に入る》

 --弁護士による福田氏の聴取は、いつから始めて何回くらい行ったか

 伊藤氏「4月16日に文書で公表しているが、面談での聴取は3回。そのほか電話による事実関係の確認を行った。調査の詳細については、控えさせていただく」

 --本人はセクハラの事実は今も否定しているのか

 伊藤氏「行為については否定している。4月4日の夜に、1対1の飲食をしたことは認めているが、十分な反証反論は提示されていない」

 --反論・反証が提示されていないというのはどういうことか

 伊藤氏「テレ朝の記者会見で、セクハラに該当する言動があったとするが、明確な証拠を持って、福田氏が反論していることは確認されていないということです」

 --福田氏は提訴するとしたが、これは撤回していないのか

 伊藤氏「すでにお辞めになっているので、把握していない」

 --本人には処分を伝えたのか

 伊藤氏「伝えております。セクハラをしたということは否定しているが、処分全体、その考え方については、処分の程度も含めて承知している」

 --いつ伝えたか

 伊藤氏「本日です」

 --なぜこのタイミングで処分をするのか。テレ朝とのやりとりもあるのになぜか

 伊藤氏「テレ朝から発表のあった以外の音源などを確認できれば、事実関係は確認できると思っていたが、福田氏が弁護士に行為を否定している段階で、これ以上は事実認定できない。福田氏は否定していてるのに、私共のほうは『中身を教えてくれ』と言っている状況で、テレ朝が社員保護の観点から協力に慎重になることは構造的に理解できる。これ以上の真相解明は難しい。被害の女性社員の方には精神的にも、いろんな意味でマイナスに作用するので、これ以上の対応は財務省としてとれないと思ったので、調査を打ち切って、今の段階で処分決めた」

 --追加の処分は

 伊藤氏「今のところ考えていない」

 --処分の基準は

 伊藤氏「今回の減給20%6カ月は、議論はあるだろうが、人事院のガイドラインでは、言葉によるセクハラ行為は戒告もしくは減給。そこに当てはめた。量定については、事務次官という責任ある立場でやったこと、2週間あまりの報道などによる信用失墜などを加味して決めている」

 --ガイドラインでは「相手の意に反しての言動」とある

 伊藤氏「それはどこまでそれを強く考えるか。省内でもセクハラの事案もございまして、加害者と被害者の認識が完全に一致することはあり得ない。事実認定の中でぎりぎりの判定をした」

 --録音の内容について、前段があるといっていたが、その答弁も踏まえた上での判断か。それはどう影響したか

 「福田氏が、弁護士事務所からの聴取にさまざまなことを申しているが、私共から公表することは被害女性の名誉もありますし、二次被害もあるので差し控えたい」

 矢野氏「一方の福田前次官において、一定の言い分、申し開きはあるが、それを私共がここで解禁することは不適切。2時被害的なこともあるので、控えたい」

 --調査に関して打ち切ったというが、テレ朝は事実解明を求めていたが

 矢野氏「テレ朝の方には、会見に先立って、被害女性への私共のおわびをお伝えいただきたいと文書を送った。それに対してテレ朝さんがそのことをどう考えていらっしゃるか、把握していない」

 --どのような点について、謝罪したのか

 矢野氏「抗議文をいただいたときに、財務省への抗議文という形だった。セクハラは、個人と個人の問題。今回は加害者とされる職員が加害者意識を認めていないので、財務省として、女性記者の方におわびを申し上げた。被害に遭われた方は匿名ですので、名前が分からないので、テレ朝さんにおわびを伝えていただくようにお願い申し上げた」

 --麻生大臣が「はめられたという人もいる」と発言したが

 矢野氏「大臣の発言の意図については、そういう声があるということでお答えになったが、大臣のセクハラへのスタンスは、当初の段階で『セクハラはアウトである』と申していた。何度も話はしているが、セクハラはアウトであるという基本スタンス。麻生大臣の基本スタンスはそういうこと」

 --そういう発言自体が被害女性を傷つけると思わないのか

 矢野氏「両方の当事者の事実認識を照合しないと事実認定できない。これは国際常識でもある。2次被害につながるというご指摘は重く受け止める。福田氏の認識はどうかということは、多々聞いているが、それは控えたいと思う」

 --財務省としては、これで収束ということでいいのか。麻生大臣の監督責任は

 矢野氏「事務方として監督責任うんぬんを申し上げる立場にはない。本件について、新しい事実が分かれば究明しないといけないが、それをやればやるほど、被害女性にマイクやスポットライトが当たり続けるのはよくないことなので、一区切りをつけないといけない。われわれとしては、セクハラ、パワハラはあってはならないし、そういう認識は軽い組織と思われてはならない。そういうことへの対応としては先進的な組織でなければならない」